Vol.2である今回は…
『被災地から学ぶ障がい者支援のリアル― あの時、支援者はどう動いたか ―』
このタイトルには、
「正解を示す研修ではなく、現場で起きた“現実”から学びたい」
という思いを込めました。
災害時の支援は、マニュアル通りに進むものではありません。
限られた情報、刻々と変わる状況の中で、
支援者はその場その場で判断を迫られます。
「あの時、支援者はどう動いたのか」
それは、過去を振り返るための問いではなく、
もし同じ状況が自分たちの地域で起きたとき、
私たちはどう動けるだろうかという、
未来に向けた問いでもあります。
被災地の経験を“特別な話”として終わらせるのではなく、
日々の支援や関係づくりと重ねながら、
自分たちの現場に引き寄せて考えること。
そのきっかけとなる研修にしたいと考え、このタイトルを掲げました。
本研修は、
第1部:被災地の現場から学ぶ講話
第2部:シンポジウム・ディスカッション
の2部構成で実施しました。
第2回目となる今回は、
実際に大規模災害を経験した地域で支援にあたった専門職を講師として迎え、
被災地の現場で直面した課題や、そこから得られた学びを共有しました。
第1部|被災地の現場から伝えられた「リアル」
第1部では、東日本大震災の被災地で実際に支援に携わった立場から、
当時の避難所の様子や、支援の現実についてお話しいただきました。
中でも印象的だったのは、
「マニュアル通りにいかない場面が次々と起こる」という言葉です。
想定していた支援ができない。
制度や役割が機能しない。
そんな中で支えになったのは、
日頃から築かれていた人と人との関係でした。
障がいのある方が特別に困った存在だったのではなく、
日常で必要としていた支援が、
災害という非日常の中でより見えやすくなっただけだったこと。
そして、
平時から関係がつながっている人ほど、支援につながりやすかった
という現実は、私たち支援者にとって大きな示唆となりました。
-
「防災は、特別な取り組みではない」
-
「平時の支援こそが、最大の備えになる」
-
「支援者自身が守られなければ、支援は続かない」
どれも、
日々の支援の現場にいるからこそ、
深く頷かされる言葉でした。
防災を“何か新しいことを始める話”としてではなく、
今行っている支援を見つめ直すこととして捉える。
そんな視点を改めて共有できた時間でした。
第2部|地域で考える「福祉×防災」
第2部では、
東日本大震災後の福島での支援経験について、体験報告をしていただきました。
原発事故の影響もあり、
人の動きや情報が限られる中での支援は、
事前に想定していた方法が通用しない連続だったといいます。
震災直後、避難所に来られたのは一部の人だけでした。
重い障がいのある方やその家族の多くは、周囲への気兼ねから避難を「あきらめ」、
自宅や車中に留まっていたそうです。
こうした「潜在的要支援者」を見つけ出すために行われたのが、
行政の台帳(名簿)を手に、地域を一軒一軒訪ね歩く
いわゆる「ローラー作戦」でした。
支援者が地域を歩き、声をかけ、安否を確かめていく。
決して効率の良い方法ではありませんが、
「誰一人取り残さない」ために欠かせない行動だったと語られました。
支援の中で見えてきたのは、
表に出てこない困りごとや、
自分から助けを求められない人たちの存在です。
声をかけられて初めて、不安や困難を言葉にできた人も多く、
支援者が動くことで、初めて見えてくる現実があることが伝えられました。
また、支援者自身も被災者として、
不安や迷いを抱えながら活動していたことにも触れられ、
現場の厳しさと葛藤が率直に語られました。
続いて行われたディスカッションには、
地元の相談支援専門員や当事者家族も参加し、
釧路ならではの切実な声が多く聞かれました。
「もし自分たちの地域で災害が起きたら?」
そんな問いを起点に、
広域・寒冷地・移動手段・地域資源といった
釧路の地域特性を踏まえながら、意見が交わされました。
会場からは、
・日頃から情報共有はできているか
・顔の見える関係は築けているか
・非常時の支援に対する不安
といった問いや声が挙げられました。
被災地の話を「遠い出来事」として終わらせるのではなく、
自分たちの地域、自分たちの支援に引き寄せて考える。
そんな時間となりました。
参加者の声から見えてきたこと
研修後のアンケートからは、
多くの気づきや率直な声が寄せられました。
・「日頃の支援が、防災につながると感じた」
・「被災地の話が現実として胸に迫った」
・「自分自身の備えや、事業所の体制を見直したいと思った」
・「地域や他職種とのつながりの大切さを再認識した」
これらの声から、
“防災は日常の支援の延長線上にある”という、
今回の研修で大切にしたかったメッセージが、
参加者一人ひとりに届いていたことがうかがえます。
研修を通して、支援者として考えたこと
防災は、
災害が起きたときだけの話ではありません。
本人のことを知っていること。
困ったときに相談できる関係があること。
支援者同士が、日頃からつながっていること。
その一つひとつが、
災害時に命や生活を守る「備え」になっていきます。
福祉と防災は別々のものではなく、
私たち支援者の日常の中ですでに重なり合っているものです。
今回の研修で交わされた言葉や問いが、
それぞれの現場に持ち帰られ、
「今できること」から取り組むきっかけになればと思います。
【当日いただいた質問について】
シンポジウム内でいただいた質問への回答は、
「R7年度 福祉×防災~支援者のための防災研修~」資料にまとめています。
※ 資料は、当日参加された方をはじめ、
当日参加できなかった方にもお渡し可能です。
ご希望の方は、お気軽にご連絡ください。


