
王都カミハルムイは、侍や鎧武者、忍者、僧兵等の物理攻撃を主体とした屈強な前衛部隊によって守られているイメージが強いが、他の国家同様に魔法攻撃を主体とした後衛部隊ももちろん存在している。
それが、かの有名な“陰陽寮”である。



陰陽寮とは占星術や呪術、風水、祈祷等を行う“陰陽師”達によって組織された機関である。
他国で言うところの魔法兵団や魔導兵団とほぼ同義の機関なのだが、陰陽師の使う術は魔法とは違い、“呪(しゅ)”と呼ばれる独自の体系を持っている。術の発動には詠唱だけではなく印を切り結ぶ所作が必要となる。
陰陽寮はそんな術者達によって構成された特殊機関なのだ。




陰陽師という職業を分かりやすく説明するならば、魔法使いと賢者の両方の能力を合わせ持った職業であると言えよう。
陰陽師の中には“式”と呼ばれる使い魔を操る者もおり、その者達は“式神使い”と呼ばれ、最近アストルティア全土に急速に広がっているまもの使いやどうぐ使いに似た能力と役割を担っている。




こちらが陰陽師の一般的な正装である。
頭には“牛飼いのえぼし”を被り、体は全身をピュアスノーに染めた“退魔の装束上”と“退魔の装束下”を纏っている。
腕装備はその術者に応じたうでわをチョイスして装備しており、足は“わらぞうり”を履いている。
武器も術者の役割によって違うのだが、この者は“星々のタクト”を装備しているようだ。恐らく、回復担当の陰陽師なのだろう。

あまり知られていない事実だが、カミハルムイを治めるニコロイ王もまた陰陽師である。
いや、正確には陰陽師の上級職である“天地雷鳴士”である。
ニコロイ王の纏っている装備を見れば、王が天地雷鳴士である事は一目瞭然なのだが、王は幼い頃から剣術よりも陰陽術の能力に秀でており、自らも陰陽道に興味があった為に進んで陰陽寮に入り、厳しい修行の末に若くして天地雷鳴士のスキルを修得したのだ。


国家の長が陰陽道を極めている為、今のニコロイ王がカミハルムイを治める様になってからは文字通り文武両道の国家としてカミハルムイは成長を遂げてきた。
なお、現在の陰陽寮の陰陽頭(おんみょうのかみ)はハネツキ博士である。



陰陽師は魔法使いとは違って、本来は最前線で戦う職業ではない。
陰陽寮が設立されたのも、元々は魔障の研究の為であった。
1度王都を捨てたカミハルムイが新たな王都を築く際に、星の動きや大地の龍脈の流れを占星術や風水を使って占う為に組織された研究機関なのだ。
事実、遷都の際には陰陽寮の力が大いに役立った。
遷都が終わった現在も、政における吉凶を占ったり、国の打ち出す方針に助言を与えたりして、陰陽師達が国家に多大な影響を与え続けている。
陰陽師という職業は、他国や魔物との戦いよりも、政に関わる事が本来の仕事なのだ。

『臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前』

『何という美しい夜空だ!今年は最高の星の並びではないか。
これなら我が呪法を使わなくとも皆の願いはきっと星に届くだろう。
だが年に1度のお役目を放棄する訳にもいかんな。
今年も皆の願いを叶えるために全ての短冊に私が呪をかけよう。
アストルティアの全ての人々に星々のご加護を・・・!!』

『急急如律令!』
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。