白い、白い日
2011年10月3日発行
著:アルセーニイ・タルコフスキー
訳:前田和泉
写真:鈴木理策
編集:落合佐喜世
デザイン:須山悠里
サイズ:B5判変形 ヨコ200mm×タテ180mm
頁数:94頁 並製本 ・仮フランス装
印刷:1C(88頁)+4C(6頁)
日本語
値段:2,500円(税別)
アルセーニイ・タルコフスキー。
映画監督アンドレイ・タルコフスキーの父。
繊細で透徹した抒情性と
汎生命論的な世界観を特徴とする
ロシアでは知らぬ者のいない
第一級の詩人ですが、
共産主義政権下では不遇の時代を過ごし、
初めての詩集が出版されたのは
1962年、55歳になってからでした。
本書は実ににセンスのいい、
しかも贅沢な詩集である。
厳選されたロシア語作品が
前田和泉さんの美しい日本語の詩的言語に変身し、
そこに鈴木理策さんの
素晴らしい写真が添えられているからだ。
詩と写真の絶妙なコラボレーションによって、
アルセーニイ・タルコフスキーの
哀しみに満ちた抒情の本質がよく伝えられている。
雨に濡れたライラックのように
しっとりとした感情に浸ることができる。
Свиданий наших каждое мгновенье
Мы праздновали,
как богоявленье,
Одни на целом свете.
Ты была
Смелей и легче птичьего крыла,
По лестнице,
как головокруженье,
Через ступень сбегала и вела
Сквозь влажную сирень в свои владенья
С той стороны зеркального стекла.
逢瀬の一瞬一瞬を
僕らは祝福した、
まるで神の顕現のように、
世界にただ二人きりで。
君は
鳥の羽よりも大胆で軽やかだった、
階段を、まるでめまいのように、
一段飛ばしで駆けおり、そして導いてくれたのだ、
濡れたライラックの茂みを抜け、自らの領地へと、
鏡のガラスの向こう側の。

