東の辺境の森。
広大な肥沃な土地はしかし、誰の手によっても開発されることはなかった。
そこに蔓延る強力な魔獣のせいで。
そこに少年はいた。愛する姉と、愛する家族の中に。
奇っ怪な塔。それが魔女の住処だった。12歳になるまではこの塔で育てられ、そしてその時が来れば外の世界へと旅立つ。
姉が旅立ってから早二年、少年の世界は姿を変えた。
突然現れた青年と少女。切り捨てられる妹と弟。そして育ての親。
何も出来ずにいた。
突然目覚めた少年の力『神憑』。それは二人を圧倒するが、争いの経験もない少年はあっさりと拘束される。
目覚めた先で出会ったのは美しい少女。それはかつて敬愛した姉だった。
復讐相手と敬愛する姉の元で庇護される毎日。
禍根を残しながらも幸福の日々。
それが崩れるのもやはり唐突。定石。
ネタバレ
悪意の魔女。
化物と化した姉。
唯一の生存者である少年。
家族達は遺児や攫われてきた者。魔女に育てられつつ、ある者は実験の材料、ある者は食料に、ある者は運良く外の世界に、少年だけが何も知らず、何もされていなかった。少年の中に眠る『神』の力のために。
襲撃者たちは魔女を狩るために派遣された帝国の騎士。
少年の家族は既に外法によって魔獣と合成されていたため、処分された。
本来であれば少年も目撃者、あるいは間者として殺害されるはずだったが、『神』の力を見せたことで利用価値を見出され生き残る。
姉は魔女の家の地下にいた。
本当はそこで二人に殺されるはずだった。しかし殺せなかった。
魔女による秘技中の秘技によっておぞましいまでの力を手に入れていたからだ。既にそれは人ではなく、かと言って魔獣ですらなく、ただ化物と呼称するべきものだった。
姉の望みは弟の命を守ること。だから二人は姉弟を連れ帰った。
そして弟は姉を殺し、剣神、あるいは魔神としての道を歩み始める。
