novelccoのブログ

novelccoのブログ

ブログの説明を入力します。

Amebaでブログを始めよう!
「明日から学校だろうから、早速本題に入るけど」
「はい、なんでしょう。」
「ここの家は、家事は分担制なの。
用事とかあるだろうから言ってもらえたら、その用事に合わせるから。」
「はい。」
なんだ、それくらいのことか。身構えていた緊張感が少し解けたときだった。
「誉と和弘は、気をつけてね。
あ、取って食われるって意味じゃないよ。」
あははと笑いながら美智代さんは続けて話す。
「なんていうか、過去のない人間なんていないじゃない?あの二人は割と対称的な性格だと思うんだけど、過去に起きたことに対して深く考えてるみたいなのよ。本人もその深さは分かっていないみたい。いや、分からないからどう扱っていいのか分からないのかもしれない。」
「それは…どんなことですか」
「いつか、本人たちが話してくれるよ。
はい、今日はここまで!!」
「すごく曖昧な言い方ですね…」
「あはは」
笑いが止まると仕切り直して美智代は言った。
「自分でも分からないのよ。先に伝えておいた方がいいのか、そうでないのか。でも出来れば美希ちゃん自身で気づいてほしい。それは…美希ちゃんの成長する可能性を奪いたくない。信じたいのよ。親心ってやつかなー、子ども産んだことないけど。」
「分かりました。」
私は美智代さんの言った意味が分からなかった。おそらく私がまだ人のことを見守りたい、なんて考えないからだろう。どちらかといえば自分のことでいっぱいいっぱいだ。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」

明日から学校が始まる。過去の自分とさよならして、期待と不安を胸にこの家からスタートだ。