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受話器を置き、電話ボックスを出る光。
煙草に火を付けて歩き出す。
ふと公園を眺めながら2年前のことを思い出していた。
光はベンチに腰掛けて子どもたちを描いていた。
そんな時に彼女が声を掛けてきた。
彼女の名前はハルカというらしい。
光はすぐに彼女の笑顔に惚れてしまった。
動揺していることを悟られまいとする光。
素敵な時間が流れる。
やがて2人は元町まで歩き出す。
話す道すがら、今度の日曜日に動物園へ出かける約束をする。
光は喜んだ。
それもつかの間、ハルカふと口にした言葉に光は驚く。
「わたし、光さんと会ったの・・・、今日が初めてじゃないんです」
光には思い当たる節がない。
ハルカは虹霧町がヒントだと言う。
光はある出来事を思い出す。
小学校の頃、夏休みが始まってすぐのことだった。
道端で泣いている女の子がいた。
ユカちゃんがいなくなったと泣いていた女の子。
ユカちゃんは白いウサギのぬいぐるみで、光はそれを見つけてあげた。
どうやら、その女の子がハルカだったらしい。
でも、今日の出会いは、偶然なのか、必然なのか…。
再びあの頃の記憶。
ハルカを連れて自宅に戻った光。
家から出てきたチエ姉ちゃんがハルカと話している。
驚く光。
どうやら2人はお絵かき教室の仲間だったらしい。
はじめは絵を描くことも嫌がっていた光だが、
2人に促されるかのようにお絵かきサークルに入るようになった。
その頃はよく虹霧町動物園というところでスケッチをした。
しかし、ある日曜日ハルカは突然来なくなった。
次も、次も、その次もハルカは来なかった。
恐る恐るチエ姉ちゃんにハルカのことを聞いた。
どうやらハルカは引っ越してしまったらしい。
しかし、なぜ黙って行ってしまったのか…。
光は悲しみに暮れてた。
それからチエ姉ちゃんも居なくなり、
光もハルカのことも忘れてしまった。
随分と経った高校生2年生の9月。
美術の新任教師の名前に光は耳を疑った。
「ミズサワ、チエ・・・。」
「ん、もしかして・・・。チエお姉ちゃん?」
脇目もふらず美術室を目指す光。
美術室のドアに手をかけようとした光を呼び止める声。
そこに立っていたのはチエ姉ちゃんだった。
懐かしさに会話の弾む2人。
ハルカの話題になった。
わざととぼける光。
でも、ハルカが戻ってきている、あの黄色い果実を描いていた、
そう聞くと、ハルカに会いたい気持ちで一杯になった。
週末、光はその絵があるという井原美術館に向かった。
道中様々な想い出に頭を巡らせる。
ドキドキが止まらない。
美術館に着いた。
開館時間きっかり。
ハルカに会いたいというこの気持ち。
光は館内を進んだ。
ご覧の皆様へ。
いつも当リレー小説をご覧いただきありがとうございます。
気まぐれではじめたこのリレー小説も、いつの間にか半年を越え、
投稿合計数もかなりの数となっています。
しかし最近、
この小説の流れが分からなくなってきたというご意見をいただきました。
確かに、当小説はただでさえ複雑なストーリーであり、
さらに過去のものから読んで行くにはかなりの手間が必要なため、
あらすじを把握しにくいということがあると思います。
古いものから順に見ることが出来れば問題はないのですが、
それが出来ないのは、ブログの欠点とも言うべきでしょうか…。
そこで、しばらくの時間をかけて、
今までのあらすじを書き出そうと思っております。
3月中旬には再開の予定です。
ご迷惑をお掛けしますが、それまでの間首を長くしてお待ちください。
宜しくお願い致します。