TPP推進論者の議論は“国民を欺く詐術ばかり ”と藤原正彦氏 2012.01.16 07:00 Newsポストセブンに載った SAPIO記事
http://www.news-postseven.com/archives/2012 0116_78426.html
世界はこれからどこへ向かうのか――
現在、新たな世界秩序が模索される中で、
日本の選択も問われている。
『国家の品格』
『日本人の誇り 』
など数々のベストセラーを持つ藤原正彦氏は 、
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題について解説する。
* * *
TPP推進論者の議論は、国民を欺く詐術ばかりです。
彼らは当初、農業問題に焦点を当てました。
ところが、
反対派から農業以外の大問題を指摘されると、
今度は開国により東南アジアの成長を取り込むべき
だと言い始めました。
しかし、
日本は加盟予定9か国のうち
米豪ニュー ジーランドを除く国々と、
すでに2国間の自由貿易協定(FTA)を結んでいます。
だからTPPにメ リットはないと反論されると、
新聞各紙は内閣 府の試算をもとにTPPの経済効果を
「GDPが2.7 兆円増える」と報じました。
しかしこれは10年 間トータルの数字で、
1年あたりだと対GDP比で 1%の20分の1に過ぎません。
最近は苦しまぎれに
「TPPは対中包囲網の役割を果たす」
と一斉に言い始めました。
これも質の悪い嘘です。
中国は14億の人口を持つ世界第 2位の経済大国であり、
さらに“人質”として100兆円近い米国債を保有しています。
その中国をどうやって囲い込むのか。
絵空事にも程があります。
今は多くの日本人が嫌中感情を持っているから
「傲慢な中国を封じ込めるためだ」
と言われれば賛成してしまう。
本当に質が悪いのです。
もし実際に中国を封じ込める効果があるなら、
中国が黙って見ているはずがありません。
尖閣 事件でレアアースを標的にしたように、
輸出入 を制限したり、
中国に進出した日本企業に嫌がらせしたりすることもできます。
国益のためなら戦争でもなんでもやる中国人が 、
TPPを静観しているのは、
それが“中国にと ってプラスになる”からです。
TPP推進を図るアメリカの真の目的は、
日本の 非関税障壁の撤廃に他なりません。
金融、
医療 、
労働、
保険
など日本の国内規制を取り払って アメリカ企業を参入させ、
1000兆円の個人金融 資産などを貪る算段です。
そうやってアメリカに収奪された日本が国力を
低下させていけば、中国にとってメリットが大 きいはずです。
また、TPPを楯に高圧的に規制緩和を求めるアメリカに対して、
日本国内で反米感情が湧き起こるでしょう。
その結果、日米同盟が弱体化する可能性もあります。
アメリカに阿ったために 、
逆に日米関係を損なうことになるのです。
中国の静観は、
そこまで読み切った上での判断 だと私は思います。
※SAPIO2012年1月11・18日号
http://www.news-postseven.com/archives/2012 0116_78426.html
世界はこれからどこへ向かうのか――
現在、新たな世界秩序が模索される中で、
日本の選択も問われている。
『国家の品格』
『日本人の誇り 』
など数々のベストセラーを持つ藤原正彦氏は 、
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題について解説する。
* * *
TPP推進論者の議論は、国民を欺く詐術ばかりです。
彼らは当初、農業問題に焦点を当てました。
ところが、
反対派から農業以外の大問題を指摘されると、
今度は開国により東南アジアの成長を取り込むべき
だと言い始めました。
しかし、
日本は加盟予定9か国のうち
米豪ニュー ジーランドを除く国々と、
すでに2国間の自由貿易協定(FTA)を結んでいます。
だからTPPにメ リットはないと反論されると、
新聞各紙は内閣 府の試算をもとにTPPの経済効果を
「GDPが2.7 兆円増える」と報じました。
しかしこれは10年 間トータルの数字で、
1年あたりだと対GDP比で 1%の20分の1に過ぎません。
最近は苦しまぎれに
「TPPは対中包囲網の役割を果たす」
と一斉に言い始めました。
これも質の悪い嘘です。
中国は14億の人口を持つ世界第 2位の経済大国であり、
さらに“人質”として100兆円近い米国債を保有しています。
その中国をどうやって囲い込むのか。
絵空事にも程があります。
今は多くの日本人が嫌中感情を持っているから
「傲慢な中国を封じ込めるためだ」
と言われれば賛成してしまう。
本当に質が悪いのです。
もし実際に中国を封じ込める効果があるなら、
中国が黙って見ているはずがありません。
尖閣 事件でレアアースを標的にしたように、
輸出入 を制限したり、
中国に進出した日本企業に嫌がらせしたりすることもできます。
国益のためなら戦争でもなんでもやる中国人が 、
TPPを静観しているのは、
それが“中国にと ってプラスになる”からです。
TPP推進を図るアメリカの真の目的は、
日本の 非関税障壁の撤廃に他なりません。
金融、
医療 、
労働、
保険
など日本の国内規制を取り払って アメリカ企業を参入させ、
1000兆円の個人金融 資産などを貪る算段です。
そうやってアメリカに収奪された日本が国力を
低下させていけば、中国にとってメリットが大 きいはずです。
また、TPPを楯に高圧的に規制緩和を求めるアメリカに対して、
日本国内で反米感情が湧き起こるでしょう。
その結果、日米同盟が弱体化する可能性もあります。
アメリカに阿ったために 、
逆に日米関係を損なうことになるのです。
中国の静観は、
そこまで読み切った上での判断 だと私は思います。
※SAPIO2012年1月11・18日号