そこかしこにある様々なアトラクションに目を輝かせるモモ。
少し言い過ぎかも知れないが、ここの遊園地のアトラクションの量や人気ぶりにはオレも驚いた。
「そんなに急がなくてもいいだろ?別にアトラクションは逃げたりしねえんだし」
オレが嘆息混じりにそう言うと、モモは頬を膨らませ、
「そんなのわかってるもん!!でも楽しみで楽しみで・・・・まずはあれ乗ろうよ!!」
そう言ってモモが指差したのはキドからチケットと一緒に貰ったパンフレットにも乗っていた1番人気だというジェットコースター。
確かものすげえスピードで回ったりひねったり落ちたりする感じのジェットコースターだった気がする。
「・・・・な、なあモモ、いきなりあんなのに乗るよりはまずコーヒーカップとかで身体を慣らしといた方がいいんじゃないか?ほ、ほら待ち時間だってあれだし・・・」
「何言ってんのお兄ちゃん!最初にすごいのに乗ってテンション上げてくんでしょーが!!わかってないなー!!」
・・・ああ。
自分でもわかるくらいにオレの顔が青ざめていく。
モモが茫然自失のオレの腕を取ってずんずんとジェットコースターに向かって歩いていくために逃げることも出来ず。
(・・・また吐くのかあ・・・・ありがとうオレの人生。短かったけどそれなりに楽しかった・・・・・)
オレはただただ、静かに涙を流すのだった。
*
「ううっぷ・・・・まだ胃袋の中がめちゃくちゃだよクソ・・・・・」
結果から言うと、あのジェットコースターは見た目以上に恐ろしいものだった。
回ったりひねったりまた回ったり落ちたり更に回ったり・・・・俺がリバースするのにぴったりな条件が整いすぎていた。
おかげで食ったもん全部リバースした上に後ろに乗ってたおっちゃんに心配される始末。
ありがとうおっちゃん。
でもトイレにまでついて来て俺の心の傷を更に広げるのはやめてくれおっちゃん。
腹をさすりながらトイレから出ると、モモは入り口の近くで待ってくれていたらしい。
「大丈夫?お兄ちゃん・・・吐くくらいなら乗らなきゃよかったのに」
「お前が無理矢理乗せたんだからな!!??」
全く理不尽極まりない。
気を取り直したオレ達は、とりあえず遊園地を見て回ろうということで意見が一致した。
「フリーフォールとかもあるね」
「オレもう吐きたくないんだけど」
「・・・・なんかすごい説得力あるんだけど」
そう言って苦笑いをするモモ。
そういえば、昔からモモはよく笑う奴だったな。
元気で優しくて社交的で・・・オレとは全く正反対の性格をしているモモは、だからこそなんでもかんでも1人で背負い込んでしまう事がよくある。
オレはモモの頭をぽんぽんと叩いて、
「あんまり無理はするなよ?お前だって普通の女の子なんだからさ」
「・・・・お兄ちゃん・・・」
なんでわかるの、と言いたそうな表情だった。
わかるに決まってるだろ?
だって、オレはお前の血の繋がった兄妹なんだから。
「ほら行くぞ、乗りたいんだろ?フリーフォール」
「え!?で、でもお兄ちゃんまた吐いちゃうよ・・・・?」
「もう吐くもんも残ってねえっつーの」
適当に嘯いて、オレはモモを連れてフリーフォールの待機列へと歩いていく。
・・・頼むからもってくれよ?オレの胃袋・・・(中2病的な言い回し)。
*
結論から言おう。
吐いた。
「おえぇ・・・っふう・・・・」
なんでだ。
なんで1日に2回も吐かなきゃならんのだ。
さすがにもう吐けねえな・・・と思いながらモモを待たせていたベンチまで戻る。
「・・・なんで1日に2回も吐くかなあ・・・?」
「それはオレが聞きたい」
ふと空を見上げてみると、微かにではあるが段々と空がオレンジ色に染まり始めてきている。
「・・・・そろそろ帰るか。時間も時間だし」
オレがベンチから立ち上がりながらそう言うと、モモも同じように立ち上がり、
「あ、じゃあさじゃあさ!観覧車乗ろうよ観覧車!!」
「観覧車?」
「うん!遊園地って言ったらやっぱり観覧車でしょ?だから乗ろうよ観覧車!」
「うーん・・・観覧車かあ」
確かにモモの言うことにも一理あるとは思うが、正直観覧車にはいい思い出があまりない。
・・・だが、まあ。
「わかったよ。行くなら早く行こうぜ」
「ほんと!?やった!!」
たまにはあいつのワガママも聞いてやらないとな。
はしゃぐモモを横目に、オレはそう思いながら小さく嘆息した。
*
「たっか・・・すげえなこりゃ」
眼下に広がる絶景のおかげか、観覧車に対する恐怖もさほどなく。
「綺麗だねー・・・あ!!ここからアジト見えるんじゃない!?」
「見えるわけねえだろ」
「だよねー」
そう言って笑ったモモの笑顔は、今日遊園地に来たばかりの時よりも随分と明るくなったように感じられる。
オレがそう思っていたその時。
「・・・ね、お兄ちゃん、こっち向いて?」
「あ?なん・・・・」
突然モモに呼ばれ、オレがモモの方を向くと。
「・・・・・・・!?」
オレの唇に、モモの唇が重なっていた。
オレから少し離れたモモは悪戯っぽく笑いながら、
「いつもありがとね、お兄ちゃん」
「・・・おま・・・・」
あまりに突然の出来事で理解が追いつかなかったが、じわじわと実感が湧いて来るのと同時に、顔が一気に熱を帯びてくる。
その・・・つまり、キスをされたということだ。
モモも恥ずかしさがこみ上げてきたのか、頬を赤らめながら言う。
「ちゃんとお礼しとかなきゃ、って思って。私が今まで頑張ってこれたのも、メカクシ団のみんなとお兄ちゃんがいたからだよ。だから・・・ほんとに、ありがとう」
言い終えたモモは、すっきりとした表情で頷いた。
「・・・うん、言えてよかった。だから、これからもよろしくね、お兄ちゃん・・・大好きだよっ」
しばらくぽかんとしていたオレは、その言葉を聞いて、覚悟を決める。
「なあ、モモ」
「?」
「オレも、お前のこと・・・」
モモが自分の気持ちを言ってくれたんだ。
オレもちゃんと、伝えないと。
そしてその言葉を紡ごうとしたその瞬間、
「はーいお疲れ様でしたー」
観覧車の管理をしている人の声で、それはあっさりと打ち砕かれる。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・ほ、ほら早く出ようよお兄ちゃん」
「・・・・・・・・おう」
*
その帰り道。
「で、さっきは何言おうとしてたの?」
モモにさっきの続きを聞かれ、オレは慌てて答える。
「い、いや別に大したことじゃないんだけどな!?・・・・まあ、オレもモモやあいつらがいたからアヤノとのことからも立ち直れたわけだし、オレからも礼、言っとかないとなって」
そっか、と頷いたモモの表情は晴れやかだった。
きっと明日からはまた仕事で忙しくなるんだろうが、それでも今日1日はそれを忘れて楽しめてたようだし何よりだ。
「それからさ」
「それから?」
「・・・あ、悪い。やっぱなんでもねえや」
「え、なんかすごい気になるんだけど」
「だからなんでもねえって。それより早く帰ろうぜ、みんな待ってるぞ」
「・・・うん、そうだね」
モモと歩きながら、オレは夜空を見上げる。
たまにはこんな日も悪くないな。
・・・それから、他のやつに邪魔されたり照れ臭かったりで言えなかったけど。
オレもモモのこと、大好きだからな。
だから、この幸せがいつまでも続くように、オレは夜空に祈っておく。
「・・・手、繋ぐか?」
「それはいい」
「そ、そうか・・・・」
明日も、いい日になりますように。
*fin.*
はい!
というわけでシンモモ小説でした!
どうでしたでしょうか。
俺の中ではシンモモって言ったらこんな感じになりますね。
お互いのことは大好きだけど兄妹だし面と向かっては・・・って感じでしょうかね。
俺はそう言うのが大好きなんです。
というかシンタローはいつも以上に吐いてましたね。
それにそっけなく対応しながらもちゃんと心配してあげてるモモも可愛かったです。
今後もまたこういった小説書くと思われるので、よろしくお願いします。
では、今回はこの辺で!
ありがとうございました!!