鳥バード3 -もはや腹地の陣- -99ページ目
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もはや意味がわからん



いやいやいや……

大道芸としてはマジで神レベルだろ……

ヒビキのマホウ

『ヒビキのマホウ』という漫画がある。


画を描いているのが、ライトノベル、『文学少女』シリーズなどで有名になってきた小説家である野村美月の処女作、『卓球場』シリーズなどの挿絵を担当していた依澄れい。

デフォルメされたような、優しく印象的な絵を描く人だ。


既巻は二巻までで、コンプエースというアニメ関連の雑誌に連載されていたのだが、長期間休載していた。

そしてそれが、最近になって連載が再開されたのだ。


シナリオを担当しているのが、『AIR』、『CLANNAD』、『リトルバスターズ!』などのKEY諸作品において企画、メインライターを務めた、その道では有名な人物、麻枝准だ。


もう何度も書いたことと思うが、ぼくは麻枝准の作品が好きだ。本当に大好きだ。

麻枝准の作品の根底には、大仰だが、無常観のようなものがあると思う。

変わってしまうものと、変わらないもの。個人の力では決して救えないもの。運命に呑まれるもの。

そういったものを救おうとする意志の強固さへの明徹な視線と筆致こそが、つまりは彼の作品が「泣ける」「感動した」といった声で支持され続ける理由なのだと思う。


作品に触れた人間は、内容を通してAIRの往人や晴子、CLANNADの朋也、リトルバスターズの恭介たちのように強く生きることができるかということを問われる。

そして、どうやらそれは自分にはできそうにないという結論を出す。

そこで初めて、彼らの強さ、優しさ、悲しみが自分を責めるように流れ込んでくる。麻枝准の作品における「感動」とは、それを指すのだろう。


彼の作品はあくまで娯楽作だ。

いや、むしろ敢えて娯楽作に作ってあるというべきかもしれない。その方が、より寓話的な持ち味が発揮されているのかもしれないからだ。

それを半ば天然で作ってしまうあたりに(緻密な計算もあるが、基本的に作ろうと思って作れる作品ではないため)、ぼくは麻枝作品の魅力を感じる。


『ヒビキのマホウ』はそんな彼のルーツとも呼べる物語らしい。期待して完結を待ちたい。


ヒビキのマホウ(1)/依澄 れい
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再びお目にかかります

よろしくお願いします。
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