中国の「毒入りギョウザ事件」以来、中国産の食材を避ける風潮が続いている。中国に詳しい人によると「中国に住んでいる中国人でさえも、中国食材を避けている」というのだから、当然の風潮かもしれない。



 しかし、この風潮で思わぬ風評被害を出している人々がいるのだという。「中華」の看板を掲げ、北海道食材を使った料理店だ。



 この情報をくれたのは、聴覚障害者のマスターが美味しい料理を出してくれる「元祖中国風居酒屋 へんみ」(逸見春男店長)。札幌市中央区南14条西15丁目にあり、障害者の貴重な就労の場になっている。週末には、40人収容の料理店が深夜まで満員になるほどにぎわいを見せていた。来店者の目当ては、山盛りの美味しい料理だ。



 それが、「今年に入ってから、『毒入りギョウザ事件』の風評被害でお客さんが来なくなり、困っている。うちの店では、北海道産の食材と自分の出身地である青森県の食材しか使っていない。『食の安全』には充分気をつけているんだけれども…」と話すまでに、集客が落ち込んでいるのだという。



 筆者はさっそく、友人とともに「元祖中国風居酒屋 へんみ」に駆けつけてみた。筆者が行ったのは、4月12日土曜日の夜。今までなら、多くの人々で盛り上がっている時間帯だ。
 しかし、筆者の目の前に広がっていたのは、来店者のいないガランとした、今までに見たことのない光景だった。



ジ・オンライン・プレス北海道



 店には「当店の餃子、皮、具、肉、野菜は北海道産。にんにくは店主のふるさと青森県東北町直送品を使用しております。 へんみ」という、今までには見たことのない掲示板も出されていた。



ジ・オンライン・プレス北海道



 筆者が店にいたのは、午後7時から12時まで。かつては一番盛り上がる時間帯だった。しかしその間、筆者以外に来店したのは、2グループ・5人だけだった。
 変わっていないのは、料理の美味しい味と山盛りの量。そして、来店者からも調理場を完全に見ることができるという、ストイックな安全管理だった。



 安全を保障できない食材は、食べるべきではない。しかし、北海道の食材を使った北海道産の中華料理は、安全である。これを読んだ消費者には、「中華」という肩書きがあっても、「北海道産」であれば安全なので食べて欲しい。
 そして、「元祖中国風居酒屋 へんみ」で食事をすることは、障害者雇用を守ることになるので、是非とも来店してみて欲しい。

 北海道の食材を使った中華料理は安全です!!





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 この記事を書いたのは、今から1年前の2008年4月。諸事情から「お蔵入り」していたものである。


 1年という歳月が経過したが、「中華」に対する日本の風評被害などはまったく変わっていない。当時、日本政府は洞爺湖サミット、中国政府は北京オリンピックを控えていたために、原因究明が両国間で先送りされた感覚が否めない。


 もし、「もうひとつのビッグイベント」である、来年の上海万博まで原因究明が先送りされるのであれば、風評被害による景気の落ち込みは、ますます深くなっていくばかりだろう。


 日本政府が「100年に1度」とも言われる経済不況を本気で乗り切る気構えがあるのなら、中国政府に対して「毒入りギョウザ事件」の真相究明を強く迫るべきだ。