rough-41:Lost person@Rookee's garden
先手必勝。そもそも、遠距離狙撃が得意な相棒に対して、格闘戦で負けることはない。否。そもそも、「コイツが相棒でない」のならば、遠慮など要らない。もしも、これが相棒だった場合は?いやいや。「これ」で負けるようなら、やはりそれは、相棒ではない。反射的に上げたのだろう、右腕を鷲掴み、強引にうつ伏せに押し倒す。更に、勢いを付けて背中へ膝乗りになれば、小さな呻き声が下から聞こえてきた。ぐい、と上着の襟を引き下げ、露になった接続ポートへ、凶器とも言える、攻性プログラムマシマシの、神経コードが繋がったプラグを差し込む。瞬間、目の前が、弾けた。「………馬鹿か、お前」目を開けると、やたらと低い、淡いブルーグレーの天井が見えた。ぱちぱち、と何度か瞬きをすると、視界がクリアになった。見えていたのは、二段ベッドの、上の寝床。どうやら、ログアウトしていたのは数分程度らしい。ヒドさんが現実にログインしました。聞き慣れた罵倒に少し首を動かすと、相棒の顔が見えた。項の辺りに手をやって、まるで汚物でも見るかのような、蔑んだ目を俺に向けている。ああ、うん。そりゃあ、怒るだろうな。そう納得しつつ、俺はと言うと、心底安心している。先に言っておくが、俺はMではない。ただ、相手の自尊心をバッキバキにへし折るような、そんな心から軽蔑した表情をするのはブラスしかいないし、相棒やユーズさんのお陰で、身内でも割と難易度の高めな攻性プログラムを組んでいる、俺の攻撃を返り討ち、どころか、侵入さえさせない徹底的な防ぎよう、の辺り。ああ、これは間違いなく、相棒だと。ようやく、その確信が持てた訳で。だから、俺は安心した。本当に。「何で笑ってるんだよ。お前、本気で気持ち悪いぞ」「ひでぇな」もう一度言っておくが、俺はMではない。断じて。相棒も、俺の行動の原因は解っているんだろう。滑らかに罵倒しながらも、少し気まずそうに視線を外した。らしくない態度の自覚はあったらしい。そのまま立ち上がり、ベッド向かいのソファへ移ったので、俺も身体を起こした。「ユーズさんは?」そう言えば、と訊ねる。あの人なら、俺が起きるまで爆笑してそうなものだ。「爆笑しながら帰った。…良い見世物だ」眉間を揉み解しながら、相棒が苦い顔をして言う。俺も流石に苦笑した。急に襲い掛かったと思ったら、即返り討ちに遭って、ノされた一部始終を見られていたと思うと。そんなの、見てたら俺だって爆笑する。なんだ、そのカッコ悪い奴。だっせぇ。「ハシェを、捜してた」唐突に。何の前置きもなく、相棒がそう言ったものだから。今までの会話の流れでまた呆れられたか、叱られたか、罵倒でもされたんだろうと、適当に頷きそうになった所を、「え?」と顎を動かす直前で思い留まる。ああ、言ってしまった。また少し俯いた相棒からは、そんな心の声が聞こえてきそうで。唐突に何を言い出したのか、俺には理解が追い付かなかったけれど、とりあえず、理解の出来る範囲で、一つだけ指摘をしておくと。「ハシェは、もう死んでるよ」そう言うと、相棒はそっと顔を上げて、眉を少し下げて、何処かほっとしたような、困ったような、やっぱり、らしくない表情で、小さく笑った。「そうだな」「そうだよ。もしかして、やっぱり、そっくりさん?」「…あのな。いい加減、そこ疑うのやめろ。もう一度ノされたいか」「ヒェッ」おどけて言えば、鋭くなっていた相棒の目元が、ほんのり和らぐ。「今回は迷惑掛けたからな。…ユーズさんにも言われた。お前には、ちゃんと説明する」お前には、というのを聞いて。ああ、他の奴には話すつもりはないんだな、ってことと、俺には話してくれるのか、ていう、パートナーとしての、優越感のようなものを感じつつ。俺は促すように、こくりと一つ頷いた。----------早く書き終わりたいのに最近忙しいどんどん文章見返さなくなってる。