若い男が、とある男に招かれるまま、その家へと入った。
若い男のいた世界もそうだが、こちらはもう随分と寒い。
もうすぐ、こちらの世界は終わるのだと、その男は言った。
だから君にこれをやる、少しはマシになるだろうと、
寒さ避けになるような物を若い男に渡して言った。
この世界は随分寒くなった。
この寒さで人々は死に絶えて、世界は凍りつく。
若い男の住む世界はまだもう少しばかり暖かいが、
いずれは同じ運命を辿る。
数年、ひょっとすると数十年、遅いか早いかだけだ。
若い男が家のソファに座っていると、家主の妻らしき女性がやってきて、
すぐには死ねないのよ、と少しばかり悲しそうな顔で言った。
その表情は諦めが大半を占めていて、けれども、
諦めきれない僅かばかりの部分が、彼女の顔を悲しく見せていた。
彼女達の幼い子供の存在も、その原因の一つかもしれない。
世界は少しずつ寒くなっていって、
少しずつ人々は死に近づいてゆくけれど、
だからこそ、すぐに死んでしまえる訳でもない。
飽くまでも少しずつ、一歩ずつゆっくりと、でも確実に、
死に近づいてゆくのだと。
それはまるで、
真綿で首を絞められているような心地だと、
彼女は悲しそうに、けれども諦めたように、小さく笑った。
その話を聞いた若い男は、何もかも凍りついた世界の中、
氷の中で眠る彼女の姿が頭の中に浮かんで、
さぞかし美しいだろうと、そう思った。
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徐に右手を見ると、青かった。
それに衝撃を受けたような、そうでもないような。
但し、そこにあった事実に衝撃を覚えたのは確かだ。
手の甲全体がサイケデリックな配色で彩られている。
それは気味が悪いようで、しかし自分には美しく感じられた。
指先は目が覚めるような青で、
指の付け根の辺りは黄色と緑、所々に赤が散っていた。
皮膚の細胞一つ一つが発色しているようで、
それはそれは美しいモザイク模様を浮かび上がらせていて、
暗闇で手だけがぼんやりと光っていた。
その指の付け根辺りに、その事実が浮かび上がっていて。
黄色と緑、あと他の色もあったような気がするけれど、
確かにそこにはとある3つの文字が浮かび上がっていて。
ああ、これだ。これこそが、
これこそが証明であると。
心の奥から湧き立つような興奮と、感動を覚えた。
生命の真理を理解した心地がしたのだ。
ほら、他の人も見てご覧。
これほど鮮やかではないけども、手の甲にその名残を持っている。
燃えるような赤い点々を持つ人、暗い宇宙の銀河を持つ人、
それはそれは美しい、
生命たる証を各々その手に宿している。
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『400 440』
『500 550』
違う。
何度やってもこれだ。
おかしいな、この番号じゃないんじゃないか。
雑然とした品物が並ぶ列のどこかに、正しい数字が隠されている。
それを見つけて入力しないと、先には進めないのだ。
狭い店内には結構人がいるけれど、このキーアイテム?らしき物に触れると、
それらが一切消えてしまう。空間が切り替わったかのように、
人の気配が失くなり、空気が青みがかったようになる。
この間に、数字を探すのだ。
第一関門は突破した。次はこの、6桁の正しい数字を入力すればいい、ハズ。
ていうか、そうだとその辺の奴に教わった。
簡単だろ?と人を小馬鹿にしたような態度のそいつは、
それだけ言ってその他大勢の人間と同じように掻き消えた。
けれども、どうも上手くいかない。
最初は、『400』を打った所でエンターキーを押したら、
それで入力終了してしまったらしく、間違えだとペナルティを食らった。
このペナルティというのが、いきなり列車が走ってくるエフェクトが現れて、
轟音の中轢かれるという内容だから、心臓に悪いってなもんじゃない。
普通に考えて、店の中に列車が入ってくる訳がないので、
この辺りゲームっぽいなあと思ったりもするが、とにかく心臓にはよろしくない。
なので次は途中で止めずに『400 440』と入力したのだが、
これは間違いだったらしくて、また轢かれた。
おかしいな。もしかして、他にも番号があるんじゃないだろうか?
そう思って番号を探して、これかな、という番号を見つけてまた入力するけれど、
やっぱり正しくなくて、また轢かれた。
けれど、今回は何故か小馬鹿にした奴もこっちの空間に取り残されていて、
一緒に轢かれる直前の、焦った間抜け面を拝めたから、
まあ、いいか。
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記憶に残る夢見まくったんでダイジェスト。サイコー!
真綿で首を...のくだりの氷漬けの女性も美しいんだけど、
光る手も最っ高でしたな。めちゃ感動したよアレ。Aは遺伝情報だけど。
氷漬けの女性はね、本当に諦めと悲しみ9:1みたいな声色で、
本当に「真綿で首を絞められているかのよう」ってこの台詞ママで言ったのよ。
俺そんな表現憧れてはいましたけど実際にしたことなくない??!
ってそこに吃驚したわ。。。