久し振りに夢を見た。

 

従兄弟達と一緒に一つの卓を囲んでワイワイ何かをやっていて、

人数が多いものだから、狭っ苦しいなぁと思いながら、テレビを観ていた。

テレビで流れているのは先日観た「男はつらいよ」みたいな古めかしい世界観の人間ドラマらしく、

残念なことに金で失敗した二人の中年後期辺りの男が、これから入水自殺を図るシーンが流れていた。

 

何でか分からないが一人乗りのリフトみたいなのに乗って、

それが大海原の真ん中まで連れて行ってくれるようで、

そこでドボン、と海に落ちる寸法らしい。

 

先に行った一人を追うように、主人公らしき男もそれに乗り込み、

視聴者にひとつ視線を投げてから、さあ逝くぞ、とばかりにリフトに乗る。

浮かび上がらないように重石をこれでもかと載せたリュックを背負って、

黒青の海へと真っ逆さまに落ちていった。

 

海の底へと沈んでいく二人が、やがてもがき始めて、

ああ、苦しいだろうな、とそれを想像して、自分も苦しくなる。

息ができない、空気が欲しい、

ああ、これが、

絶望というものか。

 

 

 

 

 

テレビの中では、死に際の二人が突然と大きな海中の波のうねりに襲われて、

その勢いで巻き上げられた二人は結局救助され、一人は助かる…という話になるようだが。

結末を観る前に兄貴に呼ばれて、後ろ髪引かれる思いで卓を離れた。

隣のスペースの卓に、母さんが夕食を用意してくれていた。

焼いた魚と揚げた魚を混ぜたようなおかずがあって、

何これ初めて見る、と言いながら食べてみると、とても美味しかった。

 

そうこうしている内に何処かへ出掛けるという話になって、

とるものもとりあえず支度をしていると、スマホが鳴った。

表示を見てみると、記憶にない人の名前。

けれども、着信履歴を見ると何度もかけてきていることが分かった。

 

なんだろう、と思って取ろうとしたら、その直前に切れてしまった。

かけ直してみると、懐かしい人物の声が聞こえてきた。

 

ああ、君か!

一体どうしたんだい?

 

向こうもようやく繋がった、と安堵していたけれど、

電波状態がよくないらしくて、すぐに切れてしまった。

LINE通話だからかな、確かに今回線遅くされてるからな(※これは現実の話)、

ポケットWi-Fiをつければいけるだろう、と試してみるものの、

やはり別の理由で繋がらない。

 

焦りが募る。

ああ、いつもこうだ。

着信履歴だけが増えていく。

夢の中では永遠に繋がらないと、解っているのに。

 

君、今どうしているんだい。