その姿が見えた途端に、いつだって当時の心に戻れるのです。

 

誰よりあなたを尊敬していた。

今でも、そしてきっとこの先もずっと、

生涯、あなた以上に尊敬する人はいない。

 

あの頃のように甘えて、自分の思った通りのわがままを口にして、

あなたを困ったように笑わせる。

 

わたしの握手の番が来て、

握ったその手を離したくなくて、

できるなら、このまま引っ張り留めていたかった。

 

ねえお願い、ここにいてください、と。

 

本気でないように、あなたが余計な気を留めないように、

あなたに心配をかけたくないから、

あなたに迷惑をかけたくないから、

冗談めかして、そう言うけれど。

 

でも、本心なのです。

 

するとあなたは、またいつものように、

困ったような笑顔を見せて。

揶揄うようで、でもとてもやわらかな声で、

やっぱり困ったように、

言い聞かせるように、大丈夫、とやさしく笑うのだ。

 

 

『君はもう、どこでもやっていけるでしょ』

 

 

たとえ夢の中でも、

ただのわたしの頭の中のあなたでも、

あなたの存在が、あなたがくれる言葉が。

あなたからもらえる言葉が、

わたしの中でどれだけ大きく響くことか。

 

 

でも、ねえお願いだから、

もう少し、この手を握らせてください。

 

もう少しだけ、

あなたに会える幸福な夢を見ていたいから。