先週末から夏休みでした。

夏休みだけど、なんかロクに休めない地獄のような夏休みであった。

とてもとても楽しみにしていた草津への旅行が、

身内の発熱でトンボ帰りになったりとか。

ワクチン打ちにわざわざ東京まで行ったら、

迷子のおばあさんを交番まで送り届ける羽目になったとか。

 

発熱したら、PCR検査するんだぜ、今の世の中。ワロス。

後で見返す時によくよく思い出せよ、自分。

今の世界はこれだけ狂ってるんだぜ。

まあ、狂ってるというのを何を基準にと言ったら難しい所ではあるか。

今も昔も、世界は狂っているか。

それもそうだった。

 

そんなプチ波乱万丈のような夏休みではあったが、

一つだけとても良い思い出になったことがあった。

実家に帰るまでのドライブがね、最高だったんだ。

 

朝の3:30頃に家を出たかな。

勿論、まだ真っ暗で。

幹線道路も高速道路も使わずに、出来るだけ田舎の静かな道をのんびり行こうと、

夜明け前のドライブ(約3時間)に繰り出した。

 

その途中のね、あれは1時間くらい経った頃だったかな。

東の空が明るくなり始めて。

と言っても、空全体はまだまだ全然暗いけど。

東の空に浮かぶ三日月がね、すごく綺麗でさ。

三日月なんだけど、光の加減でうっすら円の形が見えるのね。

それも綺麗だったけど、なんていうか、

空を形作る、彩る全てが、

細い三日月が、雲が、空の色が、東の地平線近くの白が、

それらが形成する景色が、その下に置かれた世界が、その空気が、温度が。

綺麗だった。完璧だった。

 

青みがかった世界で、静かな道を一人ドライブするその時間が、

何物にも代え難かった。

 

ああ、

この時間がいつまでも続けばいいのに、と。

とても珍しいことを思ったな、と自分でも驚いた。

 

この色の中で、この温度の中で、この景色と空間の中で。

ずっとこのまま、この世界を運転していたいなと、

自分でも吃驚するほど、強く願った。

 

うちそういうの苦手だから。

終わりのないものってすごく嫌いだから。

ほらゲームとかでよくあるじゃん。主人公がある空間からずっと抜け出せないとか、ひたすらループして終わるとか。ああいうの大嫌い。

終わりのないものは嫌いだし、怖い。

だから、本来ならずっと続いて欲しいとか、

基本的にそういう思考には至らないのだけど。

 

でも、あの時だけは違ったなあ。

夜が明ける前のあの時間がいつまでも続いて欲しくて、

あの綺麗な世界を一人でずっとドライブしていたいなと、本気で思った。

 

まあ、願った所で時間が進むのは止められないので、

無理な願いだよなぁと思ってはいたけども。

尤も、その後の夜明けの空もそれはそれで大変美しかったので、

時間の流れというのは残酷で、だけれどもそれによって変化が生まれて、

それが常に新しいものを運んでくるのだから、

それはそれでいんじゃね、とまたいつもの自己完結に至ったけれど。

 

 

何にせよ。

あの静かで青い世界が、綺麗だったのだ。

いっそあの中に囚われてしまいたいと、途方もない願いを抱くくらいに。