また久し振りに、夢を見た。
はっきり覚えているのはほんの少しだけで、
2つ並んだベッドに一人が寝転がっていて、そこへもう一人が追加される。
そしてベッドの傍らに、拳銃を持った男が一人。
さて、処分しようか。
男はこちらを向いて、少し口元を緩めたようだった。
それは微笑みだった。
ああ、そうだね。自分はそれを知っていた。
追加された男は、殺されるべき人物なのだと。
何をやったか知らないが、彼が処刑されることは既に決定事項なのだ。
男は流れるような自然な動作で、ベッドへ拳銃を向けた。
うつ伏せに転がされた男は何も反応を示さない。
ああ、殺されるのだ。
ああ 、
瞼を閉じたい。
暗闇のうちに、全てが終わっていたのなら。
少しは気持ちも楽になるだろうか。
人が人を殺す瞬間というものは、
言い換えれば、人が人に殺される瞬間というものは、
ひどく怖ろしい。
ーーーけれど。
閉じかけた瞼を、開く。
パン、という軽めの音が連続して7回、部屋に響いた。
パンパンパンパンパンパンパン。
何の躊躇いも迷いも無く、彼は7度、ベッドの男を撃ち抜いた。
頭。肩。腕。胸。腰。両脚。
弾がめり込んだ傷口から血が流れていく。
尤も、当人は既に絶命しているだろうが。
相変わらず薄らと微笑む男を他所に、自分はどこか安堵していた。
目を逸さずにいれたことを。
人が人を殺す瞬間を、人が人に殺される瞬間を、
狂気とも呼べるその光景を、見届けられたことを。
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典型的な偽善者の話。