はいはいどうもあけおめことよろ。
年を経る毎に挨拶がテキトーになってくね、トシだかんね仕方ないね。
ここ数年はアレっすよ、職場の後輩ちゃん達にもこんな感じだもん。
流石に上司とかにはキチンとするけど。うん。
でもアレだなー、年賀状はだいぶ書く枚数は減りましたな。
意図的に減らしてるのもあるけど。貰う枚数も随分と減りましたね。
自分はそれでいいかなあと、そう思うしね。
この冬休みはデデーーーーンと冬休みを頂きまして、
全く罪悪感の欠片もなく堂々と休める身分はいいもんだと満喫し、
毎朝ダラダラと惰眠を貪っていた所為で初夢も見れたんですが、
覚えておこうと努力したけれど、起きてすぐにメモを取らなかった所為で、
昼過ぎ辺りには忘れてしまった。
残滓のような、薄っすらと残っている感覚としては、
大して良い夢でも悪い夢でもなかった気がする。
そういう起伏がなく、平坦で、ウキウキワクワク、ビックリドッキリもなく、
ただただ、淡々とした夢だったような。
いやあね。初夢でなく、大晦日の夜(というか元旦だな)に見た夢が随分と印象的で。
夢を思い出そうとする時は、何となく、なんとなーく頭のどこかに残っている、
その残滓の中に意識を溶け込ませて、流れに身を任せてゆらゆらしていると、
ある時急に、夢を見ている時の感覚にピッタリと重なって、
映像がパッと出てくる。のです、自分の場合は。
でもその印象的な夢の占める存在感が大きすぎて、
夢の感覚に周波数を合わせられても、その夢しか思い出せないっていうね。
とても寒い夢だった。
きっと夜で、空は暗かった。
自分は氷の張った湖の上に立っていて、他にも十数人の人がいた。
外国人が多かった。拙い英語で何か話していた気がするけど、忘れてしまった。
ぼちゃり、と音がして。
見ると、氷の床の一部が崩れていた。
慌てて近くへ寄って、ぽっかり空いた大きな穴を覗き込めば、
外国人の男性と女性が一人ずつ、湖底に沈んでいるのが見えた。
月明かりのお陰なのか判らないが、
水は透き通っていて、湖底はさしたる深さもなかったから、
目を閉じたままの二人の姿がよく見えた。
寒いから、二人とも厚着をしていて。
水の中だというのに、苦しそうな表情もなく、
ただただ、湖の底に向かい合って体を横たえて、
静かに眠っているように見えた。
さしたると言っても、自分の身長くらいの深さはあるだろうか。
いくら腕を伸ばした所で、とても二人には届かない。
助けに潜ったとしても、二人を引き上げることは、自分にはできないだろう。
きっと、一人を引き上げる間に(もしかしたらその前かもしれない。特に自分は寒さに弱いので)、自分が彼らのようになるだけ。
ミイラ取りがミイラになる。
なんて解りやすい。
四つん這いになって伸ばそうとした手を、そっと氷の上に戻した。
手袋越しでも、その冷たさが伝わってくる。
その氷の下の、凍てつくような水の中。
夜風がそっと水面を撫でると、それに合わせて彼らの輪郭もゆらゆらと揺れる。
ああ、こんなに近くにいるというのに。
冷たさというのは、残酷で、静謐で、澄み切っていて、ーーとても美しい。
無力さに打ち拉がれると言うよりは、忘我と言った方が正しい気がした。
何もできない自分に対するもどかしさと共に、
どこか諦念を受け入れた自分を自覚した。
やがて、少々混乱していた感情が落ち着いて、涙となって形を成してからも、
湖底で眠る二人をずっと眺めていた。