ラソ#ファ#→ソ#ラソ#ラシド# シ ラ
ラソ#ファ#→ソ#ラシファ#ソ#ラ→
※↓の夢オチの最後で出てきたメロディーです
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自分には双子のきょうだいがいたらしい。(そんなことは無いが)
いたらしい、というのは全く記憶に無いからであって、
事実なら、物心つく前には何らかの理由で別れたということになる。
ほら、と写真を見せられて、
確かに幼い自分と、同じ顔をした人物がもう一人写っているのが見える。
双子、それも一卵性かよ。というツッコミを内心しながら、
何の情報も持たないということは、きっと片割れは幼くして死んだのだろうな、と予想する。
写真の2人は、海で磯遊びをしているらしかった。
記憶には無い。
けれどその時、ふと、水の気配がした。
ぼちゃん、と、水の音が聞こえたような気がした。
白い廊下が続いている。
廊下だけではない。壁も、天井も、一面が白い大理石で覆われている。
身体がふわりと浮いた。この空間は、透明な水で満たされているらしかった。
水中にいるはずなのに、息は苦しくない。
照明もないのに、やたらと明るい。上下左右が白いから、眩しいくらいだ。
どう見ても建物の中なのに、まるで海の中のようだ。
するり、と人間の腕程の大きさしかないような、小さなクジラが優雅に泳いでいく。
あちらに見える、あれはカサゴという種類の魚だったか?
先程のクジラよりも大きく、提灯まで付いている。あんな種類の魚が現実にいるんだろうか。
何より不思議なのは、この不安定な水中で、平然と床を歩いている存在がいることだ。
片方は真っ白な頭髪、真っ白な髭、真っ白な服装の爺さんで、背中に年季の入ったザックを背負っている。奇妙なことに、見た目が全く同じで、全く同じ顔の爺さんが少し間隔を空けて何人も歩いている。
反対に、もう片方は真っ黒だ。しかも何故か後ろ向きに歩いている。身長くらいありそうな黒い三角形の被り物をしていて、後ろから見たシルエットは頭のでかいイカのようだ。
こちらも間隔を空けて何人か、全く同じ格好で後ろ向きに歩いている。
廊下はかなり幅が広くて、どちらもゆっくり歩いているから、ぶつかることはまずなさそうだ。
異様な光景に気味の悪さを感じたが、襲ってくる気配はないので、少し安心する。
ここから出ないと、という気持ちに駆られて、入口へ戻ろうとした。
その時に、微かな歌声が聴こえた気がして、振り返った。
振り返った先はT字路のようになっていて、
ちょうど縦線と横線が交わる所に、先程の白い爺さん達が集まっていた。
歌っている。何の歌だろう。コーラスのようだ。
見た目にそぐわず、美しく高い声が水中に響いている。
まるで空気のように存在感を感じさせない、透明な水の中。
熱くも冷たくもない。ただ、口を開くと、こぽりと泡が吐き出される。
眩しい、と思わず目を細めた。
天井から燦燦と降り注ぐ光は陽光のようだ。窓も無いのに一体どこから?
白い床が、壁が、天井が光を帯びて、そこだけが煌いて見える。
彼らが高らかに歌っている。
何の歌だろう。
彼らの歌声は大変美しく、荘厳で、朗々とこの空間に響き渡った。
まるで、讃美歌のように。