そこへ入るの。


今度は、自分もいいの?

自分も行かないといけない、


行かないと。


*****


あかい


視界が、あかい。
何もかも赤味がかって見える


あつい、気がする
息をしていいの、

ハ、と 息を吸った


自分のやること

自分のするべきこと

そう、自分はあそこに立たなくちゃいけない


振り返ると、位置がずれている
そういうこともあるから、と言われていた
空間が少しずれたんだ

大丈夫、大丈夫、だいじょうぶ

落ち着いて


自分の立つべき場所はそこ

自分の守るべき場所はそこ

仲間も居る、大丈夫


ねえ、息をしていいの

声をかけてもいいの

こわいよ


すぐ近くに人が二人居る
そんな人は居なかった筈なのに
知ってる、こいつらが異物なんでしょう
ぎろりとこちらを睨んできた

そんな目を向けたって、怯えない
お前らがいけない


ここに立って、

ここは絶対に通さない
もうお前らは逃げられない

そこらの物が勝手に浮き上がって、こちらにぶつかってきた

気味の悪い空間
気味の悪い二人
気味が悪い

ねえ、息を、しても、いいのかな

怖かった

息をすれば全てが台無しになりそうで、
もうこれが最後のチャンスなのに
自分の役目は、ここを守ること

ここを絶対に通さないこと


仲間が一人、倒れた
何かが床を這っている
蠢いている
血が流れている

何だ、これ

こっちへ向かってきた

通すもんか、
絶対に

音も無く肉が喰い千切られる
視界がますます赤くなる

背中を壁にぴたり とくっつけた

通さない

絶対に

通さない

喰い尽くしてる間に、仲間が来るだろうよ

お前らはここまでだ

自然と、笑みがこぼれた


ざまあみろ




ねえ、息をしても、構わないかな

もう少し我慢はできそうなんだけど

不思議と、あまり苦しくない

でも、息をしないと死んでしまうだろう


息をして



*****

夢だと知ってるから、息をしなきゃいけないんだとも知ってる。
どうやら夢の中で息を止めている間、現実でも息を止めているらしいと最近知った。
だから夢の中では現実世界の自分のために息をしないといけない、という意識があって、でも息をしたらこの夢の世界が壊れてしまいそうで、っていうジレンマに陥っている。

日本のホラー映画みたいで怖かったな。