四つん這いになってようやく通れる程度の、狭い入口。
鼻先で、空気が変わったのを感じた。暗闇の中のあちこちに、冷たい青い光が灯る。
温度の低い空気に包まれる。少し寒気がした。
ふと髪に何かが触れた。カサリ、と微かな音が散る。
何かと見上げてみると、
低い天井、だけではない。その小さな部屋の壁という壁に、桜の花が咲き誇っていた。
幹は無い。枝も、葉も無い。
ただ、桃色の花だけがたくさん集まって、所々で大きな塊のようになっている。
花弁の一枚が親指の長さほどありそうな、大きな桜の花だった。
暗い部屋で儚げに灯る青を背景に、ほんのり淡い光を帯びた桃色の花が散っていく。
綺麗だ、と声に失く感嘆した。
なんて綺麗な空間なんだろう。
何かやらなければならなかったような気がするが、それも忘れてしまった。
自分はさっきまで、一体何をやっていたんだっけ?
思い出せない。
忘れさせるほどに、美しいのだ。この部屋は。
地を這ったままで進んでいくと、塊の先端で飛び出した花弁が身体に擦れる。
カサリ、カサリと微かな音を散らしていく。
柔らかな感触に、思わず口元が綻ぶ。
そうしていると、どこからか甘い誘惑の声が聞こえてくる。
―――ずっと、ここにいていいのよ?
その声に身を任せたいと願う自分がいる。
一方で、それは駄目だと律している自分がいる。
自分はここを出なければならない。もう、出口は少し先に見えている。
その先に哀しみがあることを知っている。
ここにいれば、その哀しみに溺れずに済む。
だから自分を守ろうとする自分は必死に引き留めるのだ、ここを出てはいけないと。
温かな優しい誘惑を、もう一人の自分が拒絶する。
お前はここにいるべきでない。
たとえ出口の先にあるのが哀しみだとしても、進まなければならないのだ。
この先にある哀しみを知り、受け止めろ。
たとえ傷付くとしても、
その痛みに涙を流すとしても。
知っている。
この先にあるのは、哀しみだ。
それでも、行かなければならないのだ。
地を這う手の上に、薄桃の花弁が降り積もっていく。
励ますように。慰めるように。
悼むように。
-----
夢の中の風景ってスンゲー綺麗なことがあるんだけど、今回のはスンゲーの度合いを超えるくらいに綺麗だったね!見てる自分も「うわぁスゲーなこれ」って吃驚だった。
とにかく青いバックライトと花の桃色がすんごい絶妙。そして基本暗いから夜桜っぽくて尚綺麗。画像編集しまくった写真みたいだったね!
季節外れの桜の花。なぜ秋も深まるこの季節に桜の夢?
ちなみに久し振りの日曜休日、朝にこれでもかってほど二度寝三度寝を繰り返していたら超ロングな夢を見たその一部。あれだけ憶えていようと決意した夢の全貌は殆ど忘れてしまったが、この美しい場面だけは憶えていた。
他の場面も思い出せたら書きたいなあ。ていうか、携帯に保存してる夢オチのネタ量が半端ないことになっている。メモだけでも残しておかないと。
鼻先で、空気が変わったのを感じた。暗闇の中のあちこちに、冷たい青い光が灯る。
温度の低い空気に包まれる。少し寒気がした。
ふと髪に何かが触れた。カサリ、と微かな音が散る。
何かと見上げてみると、
低い天井、だけではない。その小さな部屋の壁という壁に、桜の花が咲き誇っていた。
幹は無い。枝も、葉も無い。
ただ、桃色の花だけがたくさん集まって、所々で大きな塊のようになっている。
花弁の一枚が親指の長さほどありそうな、大きな桜の花だった。
暗い部屋で儚げに灯る青を背景に、ほんのり淡い光を帯びた桃色の花が散っていく。
綺麗だ、と声に失く感嘆した。
なんて綺麗な空間なんだろう。
何かやらなければならなかったような気がするが、それも忘れてしまった。
自分はさっきまで、一体何をやっていたんだっけ?
思い出せない。
忘れさせるほどに、美しいのだ。この部屋は。
地を這ったままで進んでいくと、塊の先端で飛び出した花弁が身体に擦れる。
カサリ、カサリと微かな音を散らしていく。
柔らかな感触に、思わず口元が綻ぶ。
そうしていると、どこからか甘い誘惑の声が聞こえてくる。
―――ずっと、ここにいていいのよ?
その声に身を任せたいと願う自分がいる。
一方で、それは駄目だと律している自分がいる。
自分はここを出なければならない。もう、出口は少し先に見えている。
その先に哀しみがあることを知っている。
ここにいれば、その哀しみに溺れずに済む。
だから自分を守ろうとする自分は必死に引き留めるのだ、ここを出てはいけないと。
温かな優しい誘惑を、もう一人の自分が拒絶する。
お前はここにいるべきでない。
たとえ出口の先にあるのが哀しみだとしても、進まなければならないのだ。
この先にある哀しみを知り、受け止めろ。
たとえ傷付くとしても、
その痛みに涙を流すとしても。
知っている。
この先にあるのは、哀しみだ。
それでも、行かなければならないのだ。
地を這う手の上に、薄桃の花弁が降り積もっていく。
励ますように。慰めるように。
悼むように。
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夢の中の風景ってスンゲー綺麗なことがあるんだけど、今回のはスンゲーの度合いを超えるくらいに綺麗だったね!見てる自分も「うわぁスゲーなこれ」って吃驚だった。
とにかく青いバックライトと花の桃色がすんごい絶妙。そして基本暗いから夜桜っぽくて尚綺麗。画像編集しまくった写真みたいだったね!
季節外れの桜の花。なぜ秋も深まるこの季節に桜の夢?
ちなみに久し振りの日曜休日、朝にこれでもかってほど二度寝三度寝を繰り返していたら超ロングな夢を見たその一部。あれだけ憶えていようと決意した夢の全貌は殆ど忘れてしまったが、この美しい場面だけは憶えていた。
他の場面も思い出せたら書きたいなあ。ていうか、携帯に保存してる夢オチのネタ量が半端ないことになっている。メモだけでも残しておかないと。