4月にも入ると、流石に暖かいですね。季節がまた一つ動いたんだなと感じます。

自分の居るお部屋は今の所去った人も居ないし、新人さんも来ていないので、自分の周りは何も変わってないんですが。敢えて変わったことと言えば、自分がマスターになったくらいです。

そんな訳で、ヒーロー様はフレッシュ感に飢えているようです。


丁度1年前、自分が新人としてお部屋に来た頃、ヒーロー様は自分が先輩を「先輩」と呼ぶことに相当なフレッシュ感を感じていたらしく、甚く感激?されてました。

今回は特に新しいことも無いので残念そうです。あまりにフレッシュさが無いので、デスクの席替えをしようかという案まで出た程。実験机…は一部の人々の試薬瓶の量etcがとんでもない状態になっているので席替えは面倒臭いとのこと。まあ、デスクワークする方の机なら席替えしても構わないとは思われるが。

実行されるかは未定。というか不明。


もう1年、ていう感想じゃないんですね。

1年経った、でなく、1年以上が過ぎてしまった、ていう感覚ですね。うん?あれ、言ってると意味が変わらない気がするな。えーと、きっかり1年後に立っているのでなく、既にその先を歩いてしまっている感じ。

こういう時、取り返せない時間っていうのをより強く自覚する。

普段感じられないだけに。



変わったことを実感するのは、やっぱり4月に入ってからかな。

3月31日までは、どこか大学生気分のままで居たんですよ。まだ次のステップに移っていないから。

けど、友人の多くは4月1日からピカピカの「社会人」になってしまった訳です。公務員か企業人かは人それぞれだとして、大学の所属からは外れた訳だ。


新年度を迎えた初日、ふとそれを考えた時に初めて、喪失感を感じました。

これまで、大学っていう枠の中に一緒に収まっていた友人達は、会社という枠へ移ってしまったんだなと。

すぐ傍にあった温もりが、すっと消えてしまったような。


すごいな。気持ちって、そのものに温度があるんだ。

30℃の培養器の扉を開けてた時にそれを考えたもんだから、温風が肌に当たって若干暖かった筈なんだが。もう居ないんだ、と考えた途端に、背中辺りの温度がすっと下がった気がした。

丁度、すぐ隣に座っていた人が席を立った瞬間みたいに、空気が動いた。

こういうこともあるんだな、と。


何にせよ、ピカピカの社会人1年生になった友人達が、これから各々のフィールドで活躍していくことを期待します。ますます人生は単純に、未来は予想出来るようになっていくのかも知れないけれど。

健康無事でいてくれたら、それに勝るものはありません。

いつか、また会えたらいい。

その時まで、どうか元気で。



Yラボでなく家で変わったことですが、遂に兄貴が家を出ました。

これまで宅浪で次の進路を目指していたんですが、漸く方向性が決まった様子。

とりあえず、医者という夢を追い掛けて、今年度から地方の某大医学部に進学することになったようです。昔から天才かとは思ってたが、流石に神童は歳くっても衰えていなかった。


まあ、医者って夢がどこまで本気なのか、自分は知る由も無いですが。

兄貴は天才として尊敬すると同時に究極のバカでもあると思っているので、今はやりたい道に進んでくれたことがきょうだいとしては嬉しい。感想はそんくらいです。


今まで20数年間、兄貴とは2人のきょうだいとして、一つ屋根の下で暮らしてきました。

自分はいつでも兄貴の通った道をなぞって歩いていて、いつでも兄貴の無駄にでかい背中を見上げていて、何でもかんでもまず兄貴に訊いて、そして兄貴は自分の世話も含めて何でもしてくれて、っていう、最高に兄貴に頼りっきり、甘ったれた生活を送ってきました。

こんなに長距離離れた場所で、こんなに長期間離れて暮らすのは、間違いなく生まれて初めてのことになります。

尤も、それでも時期的には遅過ぎると思いますけどね。全く以てトロいきょうだいだな。


きっとこの先、もう家族4人で暮らすことは無いんだろうな。

既に兄貴が出立した後でそういうことに気が付くんだから、相変わらず自分は想像力に乏しい。


そうか、と。

ぽつり、とまた肌寒さを感じました。