これまでにない同調感。

身体がずん、と重くなった気がした。
瞳を瞼の裏に仕舞い込み、視覚をシャットアウトする。世界が暗闇に沈む。
その中へと思考をどんどん沈ませていく。
見えない暗闇の底の、もっと奥深くまで。

足下から伝わる震動さえ薄い。最早、自分が電車に乗っているかすら曖昧になる。
感覚を知覚出来るか出来ないか、その境界線の上に朧気に立っているような。
さっき車窓から見えた、夜の暗闇に覆われたのか?
暗闇の中に、真っ黒な自分のシルエットが浮かんでいる。人型に闇が濃くなっている。

『伝えたい、想いは、溢れているのに…』

何度も感じたことのある、でもいつも何なのか、どこで感じたのか思い出せない感触を、また感じた。
体が蝋人形になるような、脆い殻に包まれていて、それが割られる直前のような。
割られたの?もう罅割れて、壊れてしまっているんじゃないの。

想いが強過ぎる。心臓が苦しくて、くらっときた。思わず胸を押さえそうになった。
烈しい感情が暴れている。

お前、どうしたの。何があったの。
何がそんなに悲しいの。
どうして、そんなに泣いているの。

『いつも、言葉に、出来ない』


血を流し、涙を流し。
胸を押さえて土の上に蹲る。
叫ぶ。

でも、言葉にならない。
伝えたいのに。
伝えたい。

泣き叫ぶ姿は見えても、声が聞こえない。
助けてやりたい。そう、助けてやれるのは自分だけ。

そうか、お前は、こんなにも悲しんでいたんだね。


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少し前、帰りの電車で浜崎さんの『NO WAY TO SAY』を聴いてたらこんなことになった。
こんなことは初めてだ。いよいよ以て、妄想が現実を侵蝕し始めたらしい。