透明な2つの球がある。
自分がそれを見ているのか、見えているだけなのかよく解らない。
ガラス球のように硬質でなく、生物的な有機的な感触がする。
豚の目玉の水晶体みたいに透明で、蛙の卵塊を包むゲルみたいにどろりとしている。周囲にある液状のものは、硝子体のようだ。
切り出した脈絡膜の残骸が溶け出したように、黒い色素がその透明な液に混ざっていく。
黒い微小な粒は、円を描いて色の無い球と交じり合う。台風の目みたいだった。
そんな光景があった。
―――途端に、違和感に襲われた。
***
両手で瞼を覆った。即ち、顔を覆った。
思わずその場に屈み込んだ。呻き声が唇の間から漏れる。手のひらに涙の温度が伝った。
女の嘲笑がやけに耳についた。
だから言ったのに、とその女は高らかに笑った。
鏡を見た訳でも無いのに、何故かはっきりと理解していた。
恐る恐る顔を上げると、仲間の一人が声を上げた。
「あーあー、やっちまったな、お前」
同情しているのか、ただ単に嘲っているのか。口元を上げて、彼はこちらを見下ろした。
そんな彼の言葉にも反応出来ない。
耳に残っているのは、あの女の声だけだ。
目玉が入れ替わってしまった。
鏡を見た訳でも無いのに、それが何故だか分かるのだ。
自分の目。真っ赤な虹彩だった自分の目玉。
涙が、ぱたりと頬から落ちた。
自分の目玉は、真っ青な虹彩に変わってしまっていた。
*****
目玉が入れ替わる時の違和感が妙にリアルだったこの夢。
手のひらで押さえている目がぐりぐりと勝手に動き出して、ぽろっととれるのかと思いきや…流石に眼福のようにはならんかった。そのままチェンジしてました。
女は、ツバサの何とかの魔女に似ていた気が。
彼女の言いつけを守らなかった為に、目玉を取り替えられてしまったらしい。
そんでもって、仲間は周囲に大量に居たんですが(10人程)、あれは確実にダムハーの敵サンの衣装だったな…(そして仲間ということは、必然的に自分もその1人)。