「やべ、授業始まっちまう…」
腕時計を確認する。確実に授業開始予定時刻には間に合いそうにない。
それでも、とりあえずこの腹の虫を治めてくれそうな手頃な食い物を探しに、自分はカフェのあるブースへと急いだ。実はさっきからふらふらだ。何か食わないと倒れる、と言っても過言ではないくらいの自覚がある。
フードコートには、メニューの貧相なカフェやちょっと洒落たシェイク専門店、クレープやワッフルやドーナツを売る甘味処が集まっている。
欲求はちょっとした食い物と、ちょっとした飲み物。
クレープはちと重いな。
ドーナツにするか、と店頭に並べてあったプレーンドーナツを1コ、ひょいとつまんで、空腹の勢いに任せてかりかりと食べてみる。(※犯罪です)
ん、美味い。空腹だから何でも美味いのかもしれないが。
1個40円の安さに負けて、チョコとシュガーとプレーンを1つずつ、それから食べたプレーンの分のお金を払って、次に目当ての飲み物を探す。
実は、ファンタグレープのビックサイズシェイクが飲みたくて堪らない。
近くにあった自販にはシェイクでビックサイズのジャスミン味があったけど、ジャスミンの炭酸なんて飲む気がしない。
仕方なく、別の場所で探すことにする。
ああ、授業5分過ぎちまった。でもウィルス学の先生のことだから、多分まだ始めてないだろう。都合良いように考えることにした。
隣にある、学生向けの不動産屋とか旅行会社の入っているブースの自販には、ファンタそのものが無かった。アクエリアスとコーラ、あとお茶と各種缶コーヒー。
もう少し足を伸ばしてまた別の場所へ行ってみたものの、やっぱり無かったので仕方ナシにジャスミン味を買った。
ああ、もう15分過ぎてる。
流石にもう始まった頃だろうな。
教室は何処だっけ、と渡り廊下を走り抜けて階段を駆け上がる。廊下にでかい紙を広げて作業しているガキ共が邪魔でしょうがない。
それらの障害物を避けつつ尚も教室へ急ぐと、教室手前の階段に差し掛かった所で男と女の怒声が聞こえてきた。
何だ何だ、こんな所で痴話喧嘩かよ。
不可抗力で耳に入って来る言葉を聞いていると、どうやらこれが最後とばかりに双方喚き合いをしているらしい。大分ヒートアップしてんな、とウザイの半分、興味半分でそんな感想を抱いた。そして暫し逡巡。
(…雰囲気からして、まだ救いようはありそうだな)
こういう時は、大抵が意地の張り合いだったりする。イヤ寧ろ、聞いてる限りでは確実にそうだ。変に強がってたら、お互いに引き返せない所まで来ちまったんだろう。
第一、別れたいんならこんな所で言い争ってないで、さっさと帰りゃイイ話。
そうしないってことは、どっかで期待してるってことだ。
こんな場合にだけ、無関係の第三者が役に立つ。
「はいはい、2人共落ち着きなさいよ」
もうその時には、授業のことはすっかり忘れていた。
*****
この後、仲裁に入ったカップルが驚く程あっさりと仲直りし、ヨリを戻したというかそれ以上に仲が深まり、めでたしめでたしで終わりました。やっぱ、そこは夢だから(笑)
因みに、カップルの一件が終わる頃には既に授業終了時間となっていて、結局出る筈だったウィルス学概論はサボリということになり、友人にノート貸してくれと頼みに行こうと思った所で夢オチ終了。
恐ろしい程に自己防衛を示している夢ですな…。
以前、遅刻etcに関してちょい鬱になったことがありましたが。それを自分の中で正当化する為にこんな夢が出て来たんでしょうな。
尤も、最近は結構遅刻に対する意識は緩やかになりましたよ。
かと言って、堂々と遅刻してる訳ではないですが。
3年目にしてどうでも良くなってきただけかもしれません。
これが果たして良いことなのか、悪いことなのか。
ただ、自分の中で強固に守ってきた何かが崩れてしまったのは確かだと思います。今まではそれが崩れないように、精一杯神経を尖らせてきたつもりだったんですがね。一旦崩れると、自分はそれがどうでも良く感じられてしまうので。
ノートも同じですよ。何か書くことを間違えたり、自分の理想に叶わない内容が入ったりすると、その時点でそのノート自体がクズ同然に思えてしまう。
単に気にし過ぎなだけですが。この辺がA型の血なのか?