「おい、しっかりしろ!!」


身体を強く揺さぶられて、その震動で私は我に返った。

目と鼻の先に、必死の形相をした相棒の顔がある。


それが相棒だと認識した瞬間に、私の脳味噌は蕩けてしまったらしい。

意識とは別に私の口は勝手に唇を開いて、下卑た笑みを見せたことだろう。


だって、可笑しいじゃない?

私がたった今殺した最愛のパートナーが、ここに居るのよ?


「ホンット、笑っちゃうわ…」


あはは。

乾いた笑い声を洩らすと、一緒に涙まで溢れてきた。力の入らない手で拭うと、私の優しいパートナーはぎゅっと抱き締めてくれた。

幻覚でも見たんだろうか。

多分そうなんだろう。それ以外に考えられない。

だって、相棒はここに居るんだもの。


私、オカシくなっちゃったんだね。


幻覚。そう、あれは悪い悪い幻。

大っきな火の玉が向かってきて、とても熱かった。

避けられる筈なのに避けられなくて。

熱かった…とても。


「ごめんね」


そういえば、夢の中の私も泣いていた。


「私、夢の中であんたのこと殺しちゃった。あんただけじゃない、他の皆も」


それも、2回もよ?

だから吃驚したの。あんたがここに居て。


「ね、***呼んで」

「どうして?」

「私、オカシくなってるんだもん。診てもらわなきゃ…あいつなら信用出来るから」

「…分かったよ」




暫くして現れた女は、いつものように眼鏡の奥から冷やりとした視線を向けてきた。

いつもならムカつく程のその凛とした態度にも、今は素直に信頼を寄せられた。

まだ相棒に抱かれてる私は、何だか子供になったみたい。


「随分な顔してるわね?」


「あんたもね」と返してから、ふふと私は小さく笑った。相棒も微笑んだ。


「減らず口が叩けるんなら望みはあるみたいね。…安心しなさい。私がちゃんと診てあげるから」

「ヨロシク」


大丈夫、大丈夫だから。

相棒が肩を支えてくれる。ホンット、こういう時のあんたは優しいんだから。

その姿に、眼鏡の医者は呆れ返って溜息を吐いた。



*****


前に見た夢オチ何本か立ての内1本。

upしようとしてたのと別の方を先にupしたのはこれ如何に。

イヤもう1本の方長くってさー…書き途中なんだが。

その内upするかもしれないし、放棄するかもしれない。


というか、この夢オチはアップルシードとストーリー・セラーが混ざってる気がする。

「私」ってのは自分ではないので。