あの男はもう動かない。

それを確認してから、眼つきの鋭い黒髪の少女は入り口の引き戸を開けた。


そこに、少女と同じ顔のもう1人の少女が居た。

意外そうに目を大きくしていたが、全てを分かりきっていたようでもあった。


(この女だ)

(…やっと、会えた)


無意識に、否応無しに湧き上がる昂揚感。

入って来た少女は、中の少女を真っ直ぐに睨み付けた……もとい。

元々こういう顔なのだ。


中の少女は、血塗れのその少女の出で立ちに怯える様子も無かった。

暫くその凶暴で残酷な視線を黙って受け止めていたが、彼女はややあって云った。


「上がりなよ」


そのまま、奥へと戻っていく。

少女は云われる儘に家の中へと足を踏み入れ、扉を閉めた。


その時、窓からあの男が見えた。

僅かに身動ぎしている。まだ、生きている。



・・・殺さなくちゃ。



冷たい刃の様に研ぎ澄まされた感情の無い彼女の心に、一片の恐怖とそれをすっかり飲み込んでしまえる程の怒りの炎が燃え上がった。



*          *          *


知る人ぞ知る、ミッチー1号2号(幼年時。~10歳程度)の登場。知らない人は知らないでよろしい。

男がどういう役割だったのかよく憶えていないが…とりあえず、1号にボッコボコにされてた。

ああ、こういう所はちゃんとイメージ反映されてるなと思った瞬間(笑)