今日、何かの菌がコロニーを作りつつある靴の洗濯をしてる時に思った。

自分の家の庭には、木が結構生えてる。一番デカイのは欅。デカくなり過ぎてちょっと困ってる。

その周辺を取り囲むように他の木が生えてて、ちょっとばかし鬱蒼としてる場所がある。

うちの庭に於ける数少ない日陰であり、我が家の天敵である蚊の温床でもあったりする。


毎年のことだが、夏になると数多の蝉が欅に留まって喚き始める。

そんだけ成虫が居るってことは、まあ彼等の脱け殻も多い訳で。

庭ではしょっちゅう脱け殻を見かける。

今日も靴洗いが終わった後に、庭を探し回って数えてみたりなんかした。


蝉の脱け殻ってのは、大して珍しいものじゃない。

けど、考えてみると不思議な殻だ。中から出てくる奴は、殻に篭る前とは全く別の姿なんだから。

そして出て行った奴の寿命はたった一週間。あまりに短い。カゲロウとかは論外として。

まるで殻に、生きるのに大切な何かを置いてきてしまったみたいに。


そしたら、そこに魂とかの半分でも残ってておかしかないんじゃないか。

そんなことを思った。

中身を包んでる、蝉の殻。

出ていく前は、正真正銘の蝉の子を。出ていった後は、残された何かを。



…こんな感じの話、漆原先生が描いてくれないかな。