手帳を開く。
今日の日付の所に、メモが書いてあった。
『実験レポ提出。忘れないように』
…身体が凍りついた瞬間。は、としてカバンを漁ると、B4の紙が数枚。
自分の字が汚らしく書かれた、前期最後の実験レポ。ああ、そうだ。この実験のレポは手書き指定だった。
提出〆切は今週水曜日18:00。つまり、今日だ。
時計を確認する。今現在、17:20。そして自分は自宅の自室に居る。
どう頑張ってみても、大学へ行くまでには2時間かかる。
…ダメか。自分はがっくりと肩を落とした。
テスト期間中の提出だから忘れないようにと、自分にあれ程言い聞かせてたのに。
レポのページを確認し、内容を流し読みしていたら、最後の計算式が書かれていなかった。
途中まで計算している辺り、多分最後がわからなかったんだろう。これはこれで仕方ないと、直さないままレポをそうしてあったように2つに折って、ベッド脇の移動棚のノーパソの上に置いておいた。
今日中に出せない以上、担当教授の所に連絡しておかなければならない。今回の実験分の成績はつかないだろうが、とりあえず出さないと前期実験自体の単位がもらえなくなる。受け取ってもらえるかどうかわからないが、とにかく今の所はそうする他に考えが浮かばなかった。
(…担当は誰だっけ。どっかに名前が…)
…S先生?違う、あの先生は科学英語の先生だ。じゃあ、O先生?これも違う、あの先生はタンパク化学。実験で指導を受けたのは確かだけど、今回の実験はあの人の担当じゃない。
あれ、おかしいな?名前が出てこない。
あの先生の名前は、何ていったろう。
言われれば、すぐにわかるのに。
実験ノートにも実験レポにも、先生の名前が書かれていない。実験のレジメは見つからない。最初の実験ガイダンスの時に貰った紙に担当教授全員の名前が書かれていた筈だが、それもどこにやったか見当がつかない。
仕方なく、大学パンフレットで教授の研究室を探してみようと思い、パンフを開いた。
ぺらぺらとページをめくり、研究室紹介の項を開く。一つひとつ読んでいくが、奇妙なことに先生の研究室だけが見付からない。
大学のHPになら研究室紹介と一緒に連絡先も載っているだろうかと見てみると、そこで漸く先生の研究室紹介が見付かった。ああ、これだ、と自分は迷わずそこのバナーをクリックした。
* * *
ホントはこの後バーチャルホラー(←意味不明)を体験したんですが、よく憶えてないので削除。
目が覚めて「…実験レポ、TAさんに出したよな」と思い出し、そこで漸くホッとしました。
心臓に悪い夢だ…