さて、山種美術館で東山魁夷さんを見た後に美術館通りを青山方面に歩いて行ったんだ。

この美術館通りには山種美術館、岡本太郎記念館、根津美術館、新国立美術館が隣接していて最後に東京ミッドタウンに抜けてサントリー美術館へ行けるんだおねがい

 

根津美術館に惹かれたんだけど、その前をパスして青山橋

流石にこの辺は電動キックボードかポルシェしか走ってないんだてへぺろ

 

 

 

 

 

東京ミッドタウンに到着。

 

 

 

 

 

 

サントリー美術館で先週から始まった英一蝶(はなぶさいっちょう)展おねがいおねがいおねがい

 

英一蝶さんは15年くらい前に板橋区立美術館で観た以来なんだ。

実際、それ以来の大規模展で過去最大級らしいんだ。

 
俺は日本画の絵巻物とか風俗画に描かれている無名の人達の大好きなんだおねがい
彼らの服装や容姿、そして表情からその時代の空気を感じられるんだニヤリ
英一蝶さんの作品にはそんな人達が数多く登場するんだ。
 
英一蝶さんは江戸時代の絵師なんだ。
どっかの藩の医者の息子で藩主と江戸に行った時に絵の才を認められて狩野派に入門して絵を学んでいたんだけど、宝井其角さんや松尾芭蕉さんと交流して俳句を詠んだり、浮世絵風の絵を描いたりいろいろな事に才を発揮していたんだ。一蝶さんの絵は狩野派らしからぬユーモラスな画風でわかりやすかったこともあると思うので大人気だったらしいんだおねがい
吉原には幇間(男芸者)として出入りもしていたんだ。
そんな中、何故かははっきりしないんだけど罪人となり島流しの刑に処せられたんだ。しかし島でも江戸からの注文で絵を描いていたんだ。江戸から島流しの罪人に絵を注文するくらい江戸では人気だってことなんだ。
基本は島流し刑は無期刑なんだけど、12年目に恩赦で戻ってこられたんだ。
一蝶さんは奇跡的に帰ってこられたことで一瞬改心して狩野派らしい質実剛健な絵を描くことを自ら誓ったようでこの時期はそれらしい絵が多いんだけど、段々と前のように風俗画も描くようになったんだ。
こんな経歴なので展覧会では島流し前、島流し中、帰還後の3部構成だったんだ。
「英一蝶」と言う名前は島から帰還語に名乗ったもので、島流し前は本名の「多賀朝湖」で、島流し中は「島一蝶」と呼ばれているんだ(後からこの期をそう呼んだのだと思うけど)。
 
 
展覧会は期待通りの内容だったので、後期も行く予定なんだけど、前期ももう一度行きたいくらいなんだおねがい
その前期は10月14日までで場面替えも含めて9割くらいの作品が入れ替わる後期が10月16日から11月10日までです指差し
 
もう何時間観てても飽きないであろうくらいにどの絵にも人物が描かれていてどの顔も表情豊かで楽しげなんだ。きっと江戸時代は庶民は貧乏ではあっただろうけど楽しかったんじゃないかな〜って思うんだ。
 
 
 
 

 

そんな中でも前期の俺の中でのベストは京都国立博物館蔵の六曲一双『吉野・龍田図屛風』
この題材はよく描かれていて狩野派でも多くの作品が残されているんだ。
右隻に吉野の桜、左隻に龍田川の紅葉を描くもので
例えばこんな感じなんだ。

 

もちろん、景色だけで人物は描かれていないんだ。

 
 
しかし、一蝶さんのはこれ。

 

 

至るとことろにいろいろな人物が描かれているんだ。

 

 

 

 

龍田川に流れる落ち葉や川の中に入ってしまう人までいて、これらを単眼鏡でじっくり観ていたんだおねがい

この絵だけで二日は観ていられそうなくらい見どころ満載なんだ。

この絵が前期のみの展示なのが残念。

 

 

 

 

 

 

 

これは遊郭の絵なんだけど、鹿を描くことで奈良ってことを表しているんだウインク

人物は飄々として面白いし、鹿は可愛いんだおねがい

奈良木辻之図

(個人蔵の作品なので勝手に載せるのも気が引けたんだけど、

所有者の方の素敵なコレクションへの敬意と本展覧会への出品の賛辞の気持ちを

込めて勝手に転載させていただきました)

 

上の2作品は島流し前で、次の作品は帰還後の作品で今回唯一写真撮影可能だったんだ。

メトロポリタン美術館蔵の『舞楽図・唐獅子図屏風』

 

表には音曲を奏でる人々で裏には唐獅子が描かれているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

個性豊かな人物をちょっとだけ抜き出して撮ってみたんだニコニコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は同じ構図で描かれた『雨宿り図屏風』が2点(メトロポリタン美術館と東京国立博物館蔵)と『田園風俗図屏風』の中にも雨宿りの場面が描かれているものが出展されていたんだ。

美術館のキャプションにも書いてあったんだけど一蝶さんは島流しになる前からこのテーマに拘りを持っていたらしいんだ。いろいろな職業や境遇の人が一時の雨を避けるために寄り合って一つの場所にいるってところが世の中の縮図でまさに一蝶さんが描きたかったものじゃないかと思うんだ。

そしてどの顔も疲れた顔はあるものの悲惨さや暗さは感じられないんだ。

そこには諦観のようなものも感じられるんだ。

 

 

 

 

 

メトロポリタン美術館蔵『雨宿り図屏風』の一部

 

 

上の絵と同じ屏風の別の場所

 

 

 

 

サントリー美術館蔵『田園風俗図屏風』の一部

 

 
 
 
 
 
 
最後に展示されていたのが英派の二代高嵩谷さんの描いた英一蝶像

 

二代高嵩谷画 『英一蝶像』 東京国立博物館所蔵

(展示は10月14日まで)

 
賛には一蝶さんの辞世の句が書かれているんだ。
 
「まぎらはす 浮き世の業(わざ)の色どりも 有りとや月の薄墨の空」
 
難解ショボーン
 
俺なりは勝手にこんな感じに解釈してみたんだ。
「俺は絵の中に今に生きる様々な人々や事象描き入れたんだけど
それは月が照らす空のようなものであったんだろう」
 
 
 
 
 
 
 
 

今回の図録はクローズアップする場所の選び方やその挿入の仕方が雑でスケール感が全くチグハグで寄稿文も薄めの文書で量も少なく、全体として何かやっつけ感のある作りで残念だったんだショボーン

まあ、展覧会そのものが良かったので、それでヨシなんだけどねおねがい

 
 
 
 
 
英一蝶さんの中の人物は現地で本物を単眼鏡で見るのが一番いいので、
是非単眼鏡をもって展覧会に行って欲しいんだ。
 
 
お薦めはこれね。
お薦めって言うか皆んな殆どこれを持っているんだおねがい