屋根低い 街からいつか 山の端かすめ
オレンジ燃ゆる あなたのくにへ
高いビルなんて一つもないまちを歩いて、冷たい空気の青空を見上げていました。狭いまちの、家やお店の低い屋根の隙間からは、山の端が見えます。低い屋根すら越えては見えなかったその山は、このまちにお似合いの高さでした。
上は青空。櫛の歯が抜けたように時々現れる家々の隙間から、山の端を確かめては、次の隙間からのそれを想像しながら歩きました。
ひとつの隙間に、オレンジが燃えていました。
あれが西だ。
私はいつも、どうしようもなく方向が分からないのに。西のくにはオレンジ色だと発見しました。時は、夕暮れ間近でした。
空を見上げればまだ青く、広い空とせまいまちを見比べていたのに。オレンジの光はまだ生まれて間もなくて、山の端の樹々の薄いところからしか、姿を見せない。その時間だけのオレンジは、まちの外側のくにからの便りでした。遠い西の国から飛びわたり、樹々をすり抜けわたしに飛び込んできた、静かな便り。わたしはいつか、あのくにへ行くのだ。
オレンジ燃ゆる。