約2か月も更新をおこたってしまいました。
11月の舞台は、公演の数日前に声の調子が悪くなり、このまま不調のまま本番をむかえるのだと覚悟した。
毎日毎日、少しでも良くなっていないかと祈ったが、調子は悪いまま前日のリハーサルを終えた。
悲しくて落ち込んで、「沢山練習しているのになぜ?」と、何度も思ったが、もう割り切って舞台を楽しもうと決めた。
歌えなくてもソロがあるわけじゃないから口をパクパクさせていればいいし、笑顔で踊ればいいんだ!
いよいよ、当日を迎えました。
舞台独特の雰囲気が懐かしい。
真っ黒の暗幕に照明の光があたって、小さな埃がチラチラと光る。
あぁ・・・・・・・・。
私は舞台に戻ってきたんだ・・・・・・。
結婚と同時に役者の仕事を辞め、声を失い、なぜだかまた今ここに立っている。
不思議な気持ちだった。
周りのみんなは緊張している様だったが、私は全く緊張はなかった。
自然と背筋が伸びる。
私は2000人も収容できる客席のある舞台の光の中へ歩き出した。
音楽がかかり、歌い始める。
最初は出る。
だけど、サビの少し前の部分から、いつも出なくなる。
それでもいい。
自分の声が、自分の耳に届く。
あれ?
声が出ている・・・・・。
いつも出なかったところも、ちゃんと出ている。
なんて不思議なんだろう?!
奇跡だ・・・・・・・
神様は、とても悪戯だ。
私を失望させたり、喜ばせたり。
頑張って沢山練習したから、ご褒美をくれたのかもしれない。
なんでもいいや。
だって私は歌ってる。
自分の声で!!
無事に舞台を終えると、心地よい疲労感と脱力感に襲われた。
終わった・・・・・・・・・。
もうこれが人生で最後の舞台かもしれない。
でもちゃんとやれた。
辛い時もちゃんと病気と向き合って、声の出ない自分を受け入れて、やりとげられた。
頑張った自分を褒めてあげよう。
それからしばらくの間、私はとても快調に声が出る日々を送る事が出来た。
もう完全に治ったんじゃないかと錯覚させるほどだった。
だけど、病気はまだ治っていなかった。