その日、家族はカレーを食べながら平和な夜を


迎えようとしていた。



ママ「ねぇ。パパがボートに乗っていて、ママとユウマとケントが


別のボートに乗ってるの。」



パパ「むん。」



ママ「そしたらママとユウマとケントが乗っているボートが


突然沈んだのよ。」



パパ「むん。そりゃ大変だ。」



ママ「ねぇ。まじめにきいてるの?」



カレーをほうばりテレビのサザエさんを見ながら


むん。なんてごくいい加減な返事が気に入らなかったらしい。



ママ「ボートにはねぇ。3人しか乗れないのよ。」



ママ「パパだったらどうする?」



パパ「え?何が?」



ママ「やっぱりきいてないやん!3人が溺れそうなの!」



パパ「ああ。きいてるよ。きいてる。3人しか乗れないんでしょ。」



パパ「ママ、泳げるでしょ。ユウマとケント載せる。」



ママ「・・・・・ふうん。」



パパ「え。それしか方法無いじゃん。ボク泳げないもん。」



パパはココ●チのカレー弁当のお皿についた


残りのカレールウをスプーンでこそげながら


ママの顔をちらっと見た。



ママ「ワタシだったらねぇ。」



パパ「うん。ママだったらどうするの?」



ママ「パパとユウマとケントを載せてワタシは海に飛び込むわ。」



パパ「そりゃそうだろ。ママ泳げるもん。」



ママ「・・・・・・・・・・」




季節の変わり目だろうか


何だかこの日曜日の夜は言いようのない


冷ややかな空気に包まれた寒い夜だった。。