超合法建築図鑑 吉村靖孝 編著 彰国社
建築図鑑である。
ちょっと変わっているのは、建築物の名前やプロフィールは載せず
その建築(または看板)がいかなる理由でこういう形状になったのかということを
77件の例を示し解説しているのである。
まず、立ち読みしてから買えばいいものだが
最近ネットで書籍を買うことが多く、届いてから内容を見て一喜一憂する。
このプロセスを密かに楽しんでいるのだが、書籍代というリスクが大きく
ネットで買うのはせいぜい2000円までと決めている。
(建築本は高いですからねー)
ところで、この本は読み物として楽しいものであった。
「ふんふん、なるほどねー」と思わせる鋭い指摘もあるが
「こんな建物あるの?」という未知の発見みたいなものがたくさん載っていて
興味深い資料である。
この書籍は残念ながら東京都内の物件がほとんどであるが
この街の異常なボリュームへの執着には驚かさせられる。
とにかくありとあらゆる緩和を駆使し、可能な限りぎりぎりいっぱいの床面積と高さを
確保することで、景観形成していると言うことがわかる。
街並み的にはクリアランスがほとんど無く、その微妙な隙間が東京の象徴であり、
ひと同士の繋がりは、その微妙に広いクリアランスが互いを干渉せず
大都市をまた象徴づけているのか。
とにかくいろいろ考えさせられる書籍です。
建築に携わってない方には、
「なるほど。建築ってこんなコト考えてつくってるんだな。」
と、デザインと法律の間で葛藤している建築士の姿を垣間見ることができるでしょう。
建築関係の方には
「にひひ」と笑えるヒントが隠されているかも知れません。