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M君は、当時、私の自宅近くに住んでいた17歳になる男子でした。

 

ほとんど、通えずにいた中学を卒業後、ずっと家に引きこもったままの状態でした。

 

どこか高校へ入学し通って、軽音楽部へ入りたい(ヴィジュアル系のロックに憧れていました)という希望を持ちながらも、なかなか、その「行動」を起こすことが出来ずにいたのです。

 

「母親カウンセリング」を続けていたある日の私

 

お母さんとも、だいぶ打ち解けた感じになり信頼関係もできてきたように思えることから、今日は問題の「核心」に触れさせていただこう、と判断した私は、話の流れの中で、次のような質問を敢えてさせていただきました。

「お母さん、M君には、このままの状態でずっといてほしいんですね」

 

すると、お母さん、

「えっ❢ 先生、何言ってるのか解らない❢ そんなこと、あるワケないじゃないですか❢(キッ)」

 

(私)タジタジ・・・(笑)

 

その後、暫くしてから…

「先生、そうかもしれない…」

「私、あの子に、ずっと手を焼いていたいのかもしれない…」

 

 

M君のお父さんは、いわゆる「仕事人間」で、家庭を殆ど顧みない方でした。

そんな中で、お母さんの心は満たされず、とても寂しい思いをされていたのです。

 

「いいの。私にはMがいるから。 M、いつまでも、手のかかる子でいてね」(無意識)

 

 

心理学で言う「ダブルバインド」(二重拘束)です。

 

表面意識:「早く、なんでもテキパキとこなすことのできる立派な大人に成長してね❢ それが、お母さんの望み…」

無意識:「いつまでも、ママのお膝の上で甘える、独りじゃ何もできない子のままでいてね。あなたが大人になっちゃうと、ママ、とっても寂しい…」

それをどちらも無意識で感じる子どもの心の深奥:「どっちやねん❢ ワシにどうせいと言うんじゃい?」

 

 

 

この後、カウンセリングの焦点は、「夫婦間の絆の再結」へと移って行きました。

このように、「不登校」も、見えがかり上の原因とは全く別のところに、真のテーマが隠れていたりするものです。

子どもの無意識は、それを通じて、「家族の結び直し」を図っているのかもしれませんね。