返しの句と歌 Ⅹ
2026.1.1-
・藤原定家
これまでも心こころは別れけり苗代水もおのが引きひき <建久元年一句百首>
・与謝蕪村
菊は黄に雨疎かに落葉かな <蕪村句集安永六年>
らうそくの涙氷るや夜の鶴 <同明和八年前>
・854 家神に御饌奉りけり初茜
855 正月の床の間かざる餅と薔薇
・856 電子にて新年言祝ぐ時代かな
857 檀那寺法事さぐりの三が日
858 ワインは白寝酒のならひ年初め
859 春駒のめでたさ思へ丙午
860 蝋燭を燈す遺影に年明くる
861 岩ひばに水やりにけり初日影
・862 千年の大樹寄りそふ瑠璃の寺
・863 初がすみ衛門三郎句碑ねむる
・864 賽銭に涙重ぬる去年の寺
・865 いやさかを不動に祈る初御空
・866 骨皮の老婆も参る冬の寺
・867 盲いかな如来に佇む六日年
・868 初風にせんりょう揺るる繁多寺
869 初春や五体砕きし菩薩かな
870 村で読む尼削ぎのひと大般若
871 七草も揃わずつくる櫃あまり
872 暖冬をミランコビッチに教えられ
873 初声も音色ほどにはなりにけり
874 元日の薔薇も上元枯葉がち
875 拓郎のギター死にけり冬夕焼
876 日延して年神おくる煙かな
877 初陣の空のありかやむつみ月
878 春隣春を恐るる媼かな
879 室津から潮の香り牡蠣喰らふ
證句 はるさめや暮なんとしてけふも有 <与謝蕪村>
證歌 ・・夏草の思ひ萎えて偲ふらむ妹が門見むなびけこの山 <柿本人麻呂 万葉集巻2-131>
880 冬ぞらに山靡きつつけふも有
881 冬薔薇や果ては散りぬる盤の水
882 湯だてにて祓ひたまへや笹の舞
883 柳下恵いまふうおもへ柳やど
884 猫の恋夜と昼ともおぼつかな
885 日々萌えつ鳥やすさめず哭きそめよ
886 春雨や霊に疎かる日をおもふ
887 村人のまことも疎き社日かな
888 落葉ふむ大山くひや薬師仏
889 挽臼のトーテムポール寒茜
890 鶯と見えぬうぐひす初音かな
891 春のかぜ牧師がはこぶ鎮痛剤
892 手巻して菜花をかざる忌日かな
893 戒名の忌日に消ゆる春の雲
894 豪雪も国をば変える投票日
895 歴史にもきざむ真冬の民意やは
896 ゆうるりとはじまる春や恐ろしき
897 ぼちぼちと椿ふくらむ余所の人
898 うぐひすや暗樹を越えて泣きあへず
890 わ窯まと残すあるじや春時雨
891 船縁にたゆとふひかり遠き春
892 歌もなくただ生くる春死をかぞふ
893 遠きかな夜のしじまに春の水
894 仏前に黄花ちりしく菜の花と
895 春雨が狸をぬらすけふも有
896 満ちみちて春はめぐりて月ならん
897 月影と並びて歩く春の水
證句 足よはのわたりて濁るはるの水 <与謝蕪村「蕪村句集」>
898 どじょうたち驚き濁る春の水
899 クロードの涙泣くひと春二更
900 ジャンプして大春揺らすチビがへる
901 陽を風に雨も花冷え辺野古おもふ
902 ひと日すぎ名残に寝ねず彼岸まえ
903 水ひかるタニシも動くま昼時
904 お彼岸へ渡らんとしてぼたん餅
905 石とりゐいかに乗る石春百年
906 打ち首に重る雨おくべに椿
907 仏の座いかにながめん世の始末
908 これでもか見捨てられつるつくし群れ
909 店じまひ通ひなれたる弥生末
910 蒼天に雲を鋲留め春に逝く
911 春山の匂いめでたしくちなはが
912 大かずら古木に芽吹く生命かな
依句 蝋梅のかすかに匂ふ夜の狭庭 <しげ子>
913 フリージア蝋梅おもふ夜の土間
914 ひさかきを求め分入る春の山
915 春風に冷えてくさめる素鵞社
916 清月に素娥の影みる桃の花
917 雨に啼くうぐひす濡れて生き延びよ
918 血圧の二百を超えて春うらら