1/13~1/17まで赤坂アクトシアターで上演された
「ファニーガール」 を見てきました。
1910年~1930年代に、ヴォードビルで活躍した
「ファニー・ブライス」という伝説のコメディエンヌの
明るく前向きに生きた半生を描いた作品です。
1964年に バーブラ・ストライサンド主演でブロードウェイ
で初演後、たちまち評判になり、その3年後に映画化
されました。
明るく前向きに といっても、私生活での悲哀に満ちた
部分も描かれ、それでも負けない彼女の生き様を
描いた 楽しく、せつなくも力強い作品でした。
宝塚のショーでは聞きなれた楽曲もあり、こういう
場面のこういう意味の歌だったんだーと改めて知る
こともできました。
先に映画をDVDで鑑賞したのですが、そのときは、
バーブラ・ストライサンド演じるファニーが、誰かに
似ていると思って何気なく見ていたら、真飛聖さんに
似ているような気がして、そうなると真飛さんに
見えてしまい、なんというか、ちょこっとおかしい顔芸
というか、間の取りかたというか、映画ということでも、
細部におかしさがちりばめられていたので、これを
おさちゃんがどう演じるんだろう、と 頼まれてもいない
のに勝手に心配していました。
数回観劇したのですが、おさちゃんは 日によって
思い切り感情の込め方が違い、どれもその時の
ファニーの気持ちだと思うのですが、見ていてほんとに
面白いなぁと思いました。
面白い・・・そうファニーはコメディエンヌ という役なので、
その部分は いったいどうなっちゃうんだろう と少々
心配してました。おさちゃん コメディという要素をあまり
得意としていないような気がしていたので。でも、なかなか
面白かったです。なかなか なんて失礼ですね。
ごめんなさい。
正直、春野寿美礼さんの芸風は、感情を爆発させたり、
他の方にいじられて 最高の面白さが見られたり と
いった個性の持ち主だろうなぁ と勝手に思っていました。
19歳のファニーが、オーディションに合格したい一心で、
徹夜で振り付けを覚える親友エディ役の橋本じゅんさん
との場面では、橋本じゅんさんは出てくるだけで笑いの
取れる俳優さん 舞台で何かせずにはいられないタイプの
俳優さんだと思っているのですが、ほんとに面白い場面に
なってました。おさちゃんの体当たり演技も、フラワー
カンパニーではあまり見ることのなかった不思議な振りと
体を張った演技にびっくりしながら大笑いしちゃいました。
でも、そういう場面も楽しいのですが、後半にいくに従って
旦那様 ニック(綱島郷太郎さん)とすれ違ってくる感情の
食い違いによるせつなさや、お母さん役の剣幸さんとの
親子の愛あふれる激しいやりとりの場面が秀逸で、
ぐいぐい舞台にひきつけられました。
しかし綱島郷太郎さん、はしのえみさんの旦那様ですが、
渋くてステキですね。声もいいし、雰囲気もばっちり。
剣幸さんもステキ。ウタコさんの現役時代にはじめて
宝塚を観劇したので、そのウタコさんとおさちゃんが
親子役で同じ舞台に出ているのが不思議でしたが、
ウタコさんも感情あふれるお芝居が本当に素敵な方
なので、ぐっと心に響くものを感じました。
橋本じゅんさんは、劇団☆新感線の舞台で何回か
見ているのですが、このようなせつない役をはじめて見た
ので、正直ちょっと驚きでした。いつも、やりすぎだよー、
もういいよー、と思うくらいのものすごいパフォーマンスを
感じるのですが、今回は これまたファニーに対する愛情
たっぷりで、その思いが伝わらない、面白いのにちょっと
弱気なエディを情感たっぷり 汗びしょびしょで演じられて
いて、ファニーはこんなに思ってくれるエディに何も
感じなかったのかなぁ、と思ってしまいました。
ちょっとウウェンツくんに似ていると友達と話していました。
輪郭ではなく、顔 真ん中にキュッと集まった顔の部分。
色々な感情が重なってこその強さ、特にこの強い部分が、
春野寿美礼さんに重なって見えた とても印象に残る
舞台でした。