大根は年中スーパーで手に入る身近な野菜ですが、11〜2月が旬です。その時期の方が甘くてみずみずしく、春夏の物は辛みがあります。

 

中国の代表的な薬草の本である『本草綱目』には、大根は煮ても漬けても生でも乾燥しても酢にしても食べられる。野菜の中で最も重要なものであると記録されています。

大根は胃に入ると消化を助け、その栄養分は吸収されて血中に入り、新陳代謝の効率を増進します。

ですので大根は安く手に入る上に栄養を効率よく摂れる野菜と言えます。

そして大根には漢方薬として複数の効能があります。

 

 

【消化を助ける】

 

食べ過ぎ、飲み過ぎ、肉食、麺類、もちの食べ過ぎなどに効果はてきめんです。

また消化不良を起こして胃が食べ物を受け付けないし、かと言って吐きも下しもしないで全身の気分が良くないような時、大根おろしを一杯ゆっくり飲むか、大根の煮汁を飲むとたちまちすかっとした気分になります。効果も早いです。

 

【咳を止める】

 

気を下げる効果があるので、咳を鎮める効果もあります。

漢方ではお腹には気を下げる働きと上げる働きがありますが、そのバランスが崩れて咳が出ます。

 

【痰を消す】

 

痰を消す生薬は杏仁、半夏など色々存在しますが、大根の痰を消す力はこう言ったものに劣りません。

風邪や気管支の不調に毎日1〜2杯の大根おろしを服用すると良いです。

1歳以上のお子さんがの場合、どうしても飲んでくれない時はハチミツで甘味をつけても。

 

【喉の痛みを抑える】

 

余分な熱を取る作用を解毒作用によって、空気が乾燥しているような時に起こりがちな喉の病気は、生大根を食べる事によってかなり防げます。

その他、鼻血、唇のひび割れ、目の充血、歯根の出血などの時は、葉っぱを煮て飲むと効果があります。

 

その他乳房の張りを抑えたり、母乳の出を良くするといった効果もあります。

 

 

中国の古代仏教の名僧たちは、終身菜食を提唱し実践していたそうです。

仏教なので欲念を取り去る効果があると教えているのですが、脂っこい物を多食するのを避けて、常に大根を摂るように心がければ気分爽快となって心身ともに健康になるとも言っています。

「大根、青野菜、豆腐の3つは人生の最大の3大宝である」とも言われています。

 

 

皮の方がその働きが多いので、無農薬の物であれば皮を剥かずに一物全体(素材の全部を食べる)で召し上がることをお勧めします。

私は大根の皮はきんぴらにしていただく事が多いです。

葉っぱもかなり優秀な緑黄色野菜なので、ぜひ捨てずに召し上がって下さいね。

例えばβカロテンはほうれん草と同じくらい、ビタミンCは水菜と同じくらい、カルシウムはほうれん草の5倍含まれています。

その他鉄分や葉酸も含まれています。

細かく刻んでしらすと甘辛く炒めてふりかけにしたり、ほうれん草の様に切って汁物に入れたりしても美味しいです。

 

 

【注意点】

お腹が冷えやすかったりすぐ下したりする方は根の部分、すぐ疲れて息切れが多い方は葉っぱの食べ過ぎにご注意です。

そういった方は生姜と一緒に摂るのがお勧めです。

 

 

ところで先日、食堂をなさっているお客様からとれたてでみずみずしい無農薬の大根をいただきました。

お店のお料理に使うために無農薬のお野菜をご自身の畑で育てていらっしゃって、いつもお裾分けして下さるのです。

農薬を使っているお野菜は苦味が強いですが、この大根は甘みがあって生で食べないともったいないくらい美味しかったですニコ