優しさはすぐそばに
いやー、もう駄目かと思ったよね。もうクビか、と。Twitter見てる人は知ってると思うんだけど、ブログの読者さんは知らないだろうから事の顛末を書きます。先週頭に資料作成頼まれたんだけど、どうもいつもとやり方が違ったみたいで。資料作成の方法は細かいから割愛するけど、とにかく課金くんと部長(人事異動があり前の部長はもっと偉くなって先輩が部長になった)がほぼ資料作成をしてくれたんですよ。作業の割合としては先輩1:課金くん:8私1くらいの感じ。これはもうほぼ課金くんが作ったに等しい。私はエクセルの見栄えを整えたくらい。この表作成の指示は上司(今は偉くなった元部長)からだから上司に資料を提出することになる。正直に話すしかないよね。この上司が派遣で拾ってくれて、契約社員にまでしてくれたんだもの。彼に嘘はつけない。「お待たせ致しました。 資料を添付致します。私が資料を作成すると申し上げましたが、実際には部長と課金くんがそのほとんどを作成してくださいました。特に課金くんには大変な負担をかけてしまいました。営業さんには、資料は部長と課金くんが作ったとお伝えください。私は今一度仕事との向き合い方を考え直してみます」そうチャットに書いて資料を添付した。割とすぐに返信が来た。「今後のために教えて欲しいんだけど、のんさんは課金にやり方を教わって自分で責任を持って作業に当たらなかったんですか?」「教わったのですが全く理解出来なかったんです。責任を放棄したつもりはありません」「それは勉強してどうにかなるものではないの?」「エクセルは勉強しているのですが、Vlookupくらいが限界です」「勉強は今も続けてる?」「続けています。時間がある時に勉強しています」「今も継続して勉強しててVlookupが限界?そんなのおかしくない?」「これが限界なんです」「分かりました」朝のフロアは人が少ない。上司がチャットをがんがん打っているのが嫌でも聞こえてくる。ああ、怒ってる。もう駄目だ。責任がない。勉強不足。そう思われてしまった。終わった、クビだ。連休は生きた心地がしなかった。ストレスから過敏性腸症候群になり少し痩せた。あまり眠れず従って脳がろくに機能しないため、ぼうっとした頭でヒグマの動画を見続けた。そして連休は明けた。今日は謝罪スタイルのため、トップス、スカート、パンプス、全て黒にした。スカート合皮だったけど。くうう、会社に着いてしまった。私はどうなってしまうのか。ええい、ままよ!私は会社のドアを明けた。真っ直ぐ机に向かってタイムカードを押すと上司の元へ向かった。「◯◯さん(うちの会社は誰にでもさん、づけだ)木曜日は大変申し訳ございませんでした」「え?木曜?なんかあったっけ?」へ?別室に通すとかないの?「課金くんに作って貰った資料の件です」「あー、あれね。仕方ないよ、分かんなかったんだからさ。でもどの辺が分かんなかった?」「こことここの差分を出すために前回の資料と比較必要だったのですが、こことここを~それとここが」「んー、聞いてる限り簡単そうだけどね」「すいません、分かりませんでした。しかし今後は出来る範囲のことで頑張らせて頂きます」「あははは、勉強もしてくれると嬉しいよ」「します!」えー?怒ってなかったの?忙しくてキーボードがんがんやってただけか。過敏性腸症候群はぴたりと止んだ。数分後メールが送られてきた。「営業へ資料が完成しました。のんさんと課金が作ってくれました。」マジか。課金くんが作ったって伝えてください、って言ったのに。優しい。優し過ぎる。昔から知ってたけど、彼がとても優しい人だって。課金くんにもチャットでお礼を伝えた。そして私に割いた時間のお給料を払いたいと申し出た。金で解決するのもなんだかな、とは思ったがそうでもしないと私が納得出来なかった。返信が来た。「気にしないでください。困った時はお互い様ですよ。私も自分の業務量見ながら出来ると判断してやってたので、私の作業が遅れたり残業したりしてませんから。気に病まないでください。」どうなってるんだ。どうしてこんなにも皆優しいんだ。気に病まないで下さい、なんて。実は金曜日の夕方、後輩の世渡りくんと給湯室ですれ違った。よほど酷い顔をしていたのだろう。「大丈夫すか?」と声を掛けてくれた。そこで、こういうことがあってもうクビかも知れない、と話すと「ないですよ、そんなん。◯◯さん、楽観主義だし、よほど大きなことないとクビなんてなりませんよ」うん、普通に考えたらクビになんかならない。でも私は過去に何度もクビを経験している。だから今回も。でも彼にそんなことは言えない。まだ不安げな私を見兼ねて、彼は様々な言葉で私を励ましてくれた。「俺もエクセル出来るほうなんでいつでもこっそりチャットください」そうも言ってくれた。心強いなあ。連休は高尾山でも行くといいですよ、リフレッシュ出来ます。彼は別れ際にそうアドバイスをくれた。何故高尾山なのだろう。そんなことはどうでも良くて、こうやって話しを聞いて励ましてくれる彼の優しさが温かかった。今朝彼と二人きりになる機会があったので、こないだの話しさ、特になんもなかったよ、と伝えると「そう思ってましたよ」と言って彼は笑った。何でもないことにいちいちビビって、勝手に落ち込んで。多分この癖は治らないんだろう。過去の苦い経験が消えない限り治らないんだろう。でも過去があるから今の私がある。過去があるからこんな優しい人たちに出会えた。優しさをくれた全ての人に伝えたい。心からありがとう。