製品名、企業名や出演タレントを全面に押し出さないで、製品の特徴や企業の理念のみをCMに詰め込んだものでいいなぁと感銘を受けたものを集めてみました。動画を並べるため、負荷軽減を目的にデフォルトは小さく表示しています。大きくして見たい方はお手数ですが、動画をダブルクリックして見てください。なお番号は順位という訳ではなく、整理の為ですのでご了解ください。

①「母の日ありがとう」[eTb]
スペインバスク自治州の公営テレビ局「eTb」の「母の日」に関するCM。学校で皆が絵を描く中で、一人の少年が紙に筆圧強く「Te amo(愛している)」と書いて盲目の母親に渡すという愛溢れる作品。最後にメッセージとして「母の日ありがとう」と表現が入るが、それがなくても親への愛情が感じられる普遍的なストーリー。




②「クレイジーな人たちがいる」[アップルコンピュータ(現:アップル)]
Appleが経営的にどん底である当時のCM。過去の偉人を映像として流し「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが本当に世界を変えているのだから。」とナレーションが入る。白黒で古さを感じるが、ナレーションの内容と共に偉人を映すことによって信憑性が増している。このCM放映当時は単なるカッコつけの様に思われても仕方ないが、数年後にライフスタイルを革新させるイノベーションを実際に起こす事実を考える限り、単なる消費者への口説き文句ではなく会社自体が本気でこのように思っていた様だ。




③「LEGENDARY BIRU」[サッポロビール]
「サッポロプレミアムビール」の製造工程をCGを駆使して表現したCM。製品をカナダで展開するために作られたCMであったために日本での放映は無し。しかしながら日本での問い合わせが殺到し、また現地でも売上が前年同期比9割増という結果を残した。ナレーションは一切なく、製造工程と日本のエキゾティックな雰囲気を醸しだしていて異文化から見ると魅力的に見えたのかもしれないが、日本人である自分から見ても高品質であり魅了された。日本ではどうしても短編になってしまうため、長編のCMを流せることは羨ましい。




④「クリスマスエクスプレス」[JR東海]
CM好きにとっては避けては通れない伝説のCM。失礼ながらまだ無名に等しかった深津絵里が出演(勿論その後の活躍は周知の事実)。BGMである山下達郎「クリスマス・イブ」が爆発的人気となりクリスマスソングとして定着したのもこのCMがきっかけ。新幹線がいなくなった後の寂しさは第二次世界大戦の出兵や集団就職列車を見送った家族の心境をモデルにしていると制作側は述べている。今でこそ携帯電話で直ぐに連絡がとれるが、それが無い時代は相手が見当たらない不安は大きかっただろう。そういう視点で見るとこのCMも当時としては良く作られている作品である。




⑤「発声発語訓練システム」[松下電器(現:パナソニック)]
発声発語訓練を行っている児童が授業参観で教科書の音読をするというもの。授業の様子、練習風景、そして最後に再び授業の様子と展開がループすることでこの授業シーンを改めて別な視点で見ることができる。あくまで自社の製品は訓練のお手伝いをしているだけで努力するのは利用者であるというのがナレーションや「Human Electronics」と唱っていることからも分かる。正直これを利用する人達は市場が狭いと想定されるが、芸能人を登用した華やかなCMよりもこの様な社会貢献をPRした方が企業イメージの向上に繋がると思われる。社名は変わり、また周辺環境が厳しい中であるが是非ともエンドユーザーを考えてこれからも製品開発を行って欲しい。




他にもいいCMが世の中にはあふれていると思います。そこでこのCMはおすすめ、または感銘を受けたというCMがございましたら、コメント欄に書き込んで頂くか、info@spazions.comまでメールください。次回選考の参考にさせてもらいます。

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