現在バンクーバー冬季オリンピックが開催中であるが、各選手の活躍よりもスノーボードの国母和宏選手の服装問題についてマスコミが大きく取り上げているので、ここでも一石を投じたいと思う。

国母選手が自覚しなくてはならないのは、オリンピックという舞台に日本代表として出場する以上は、日本を背負って立つ訳であり、国民の税金も与えられている訳であるから、最早自分一人の大会ではないということである。服装、態度は日本のみならず、世界中皆に見られているという認識が欲しい。ただし、まだ若いのであるし、オリンピックに出場できる、さらには世界で8位入賞できるという能力の持ち主なのだから、もう少し大人になって、次回頑張って欲しい。

次にマスコミについて。マスコミは一斉に彼を叩いたのであるが、他にニュースはなかったのか。勿論、そこを取り上げるのは各社報道の自由であるから、何を報じてもいいと思うが、どこかの局が報じたからと言って、他の局も同じように取り上げて、よほどネタにつきているのか、制作者側が無能なだけである。特に、オリンピックを控える選手達にとって、大会前にこのように叩かれることが、自身のモチベーションをどれだけ左右するのかを考えているのだろうか。批判するなら、大会が終わった後でもよかった気がする。さて、彼の問題が少しずつ沈静化した今、一部マスコミでは、スキーモーグルの上村愛子選手のインタビューにおける「お母さん」発言は「母」と言うべきだという記事まで出ている。もはや、彼の服装や態度を批判することではなく、批判することだけが目的になってしまっている。本質が理解できているのだろうか。マスコミは自分でこれに気づかぬ限り、形骸化していくと思う。

ご臨終メディア―質問しないマスコミと一人で考えない日本人 (集英社新書)/森 達也
¥714
Amazon.co.jp

マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのかー権力に縛られたメディアのシステムを俯瞰する/日隅 一雄
¥1,890
Amazon.co.jp