Noriの脱heavyな生活のすすめ-toyota recall

トヨタの北米でのリコール問題は連日報道されているが、果たしてその問題の本質は何であろうか。確かに、技術的な問題はあるのだろうが、企業としての問題はなかったのだろうか。それを考えてみる。

トヨタは今や世界一の自動車会社になったが、それまでの過程において、毎年50万台近くの増産をしてきた。これは単純に比較はできないものの、富士重工の年間生産台数分をトヨタ一社が増産していたことになる。自動車産業は基幹部分だけではなく、車内のマット、電球、ラジオなど周辺機器もセットで生産しなくてはならない。そのためにトヨタ一社が増産だと叫んでも、下請け企業に徹底したコスト削減を要求するトヨタについていくべき関連企業がついていけなかったと考えられる。

次に危機への対処を考える。記者会見で横山常務は「ブレーキのかかり方に関して客と会社との認識の違いがあった」と発言したが、それは顧客の要望が企業の供給と合っていないことを露呈した形になったのではないか。例え、問題がなかったとしてもユーザーを相手にする企業なのだから、そのような発言は危機に対処する大企業としては、いかがなものかと思う。このように危機に瀕した場合、その危機をうまく利用して成長する会社とそのまま転落する会社に分かれる。果たしてトヨタはどうなるのであろうか。

このようなことは世界一になるまでの過程は分からずに、世界一になった途端に公になってきた。つまり俗にいう大企業病にかかったのである。よく考えると、それが顕著に現れたのは、つい最近ではない。去年、のりピーこと酒井法子がトヨタのCMに出演していて、逮捕されてすぐにCM打ち切りになったという経緯がある。一説によると、酒井法子はタトゥーを入れたり、世間からしたらネガティブな要素があったことは結構周囲は気づいていた様だ。しかしそのような人をCMに抜擢する前に、出演する人がどのような人なのか、身辺調査は徹底されていたのだろうか。勿論CMを制作したのは、下請けのCM制作会社であることはわかっていても、自社のCMなのだから、管理が不十分であった可能性がある。そう考えると、去年ここで既に大企業病の一部が出ていた事になる。

長々とトヨタの大企業病について述べたが、貿易摩擦の件を語らずにこの問題は語れないので、最後に触れておく。80年代後半から世界特にアメリカに進出した日本の自動車会社は日本で生産し、アメリカへ輸出していた。その為に貿易摩擦が起き、それを緩和するために現地生産を多くしていった。そのため、日本で問題が起きなくてもアメリカ製の部品のために、アメリカ自体が被害を受けることが多くあった。それを指揮する日本に責任があるのはその通りであるが、その問題も頭にいれておかなくてはならない。また、GMなどアメリカの大手自動車会社との合弁工場などを打ち切ったことに対する、アメリカの鬱憤や不満なども今回のリコールに向けられているとも言える。要は今回のリコール問題は単純な技術的な問題だけではなく、トヨタ自身の大企業病の問題、日米の貿易摩擦の問題、金融危機による世界各社の不振の複合的な問題が絡み合っているため、単純な理由を述べる事は難しいのある。

先にも述べたが、危機を糧にできるか、転落への布石となるかはトヨタ自身にかかっているのである。

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