社会保険料を抑える知恵として、ここでは、厚生年金保険料を取り上げたいと思います。


今月もしくは来月の給与明細を見て、標準報酬月額が従前と変わってないにも関わらず、厚生年金保険料が増えているとお気づきになる方がいらっしゃるかもしれません。

実は、厚生年金保険料は平成29年まで毎年増えるのです。保険料というか、保険料率が増えるのですね。なぜなら、厚生年金の保険料率は平成29年まで毎年増え続けることが既に法律で決まっているのです。

標準報酬月額が30万円の場合、今後、毎月の厚生年金保険料は年々531円ずつ増加、年間で6,372円ずつ増加していきます。今後10年間トータルで考えると、支払う厚生年金保険料は、現在の水準と比べて約30万円ほどの増加となります。

個人負担のほか、会社負担もほぼ同額の負担増となります。

例えば、社員が1000人いる会社は今後10年間でトータル3億円の負担増となるわけです。

会社も死活問題になりかねない由々しき問題なのです。
今後、定年退職者の再雇用、定年の年齢引き上げ、定年の廃止等、高年齢労働者を雇用しつづけることは、厚生年金の被保険者を継続することになるので、保険料負担がさらに重くのしかかるのです。


会社はこの負担をどう軽減するか対策を考える必要があります。放っておくわけにはいかないと思います。
やり方としては、負担増になると見込まれる分を給与で調整するとか・・・、しかし、それが理由で賃金テーブルをいじるのは問題があると思います。(別の理由を立ててやろうと思えばできるとは思いますが・・・)

巧みに制度変更を行うことで社会保険料を削減できるとするコンサルタント的なビジネスもあるようですが、一番分かりやすく即効性があるのは、残業代を削減することだと思います。


残業代を減らすことで、残業代そのものの削減になりますし、毎年の定時決定や随時改訂で決定される標準報酬月額も抑えることができるのです。

標準報酬月額に掛ける「保険料率」を減らすことはできませんが、保険料率を掛けている「標準報酬月額」を抑えましょう、というわけです。


定時決定において「標準報酬月額」とは、4月・5月・6月の3ヶ月間の給与(3ヶ月を超える間隔で支給されるものは除く)の平均と通勤交通費の月割額の合計(以下「給与額」という)で決まり、9月から(給与控除上は10月から)改定します。


ようするに、この給与額を抑える必要がありますが、給与額を抑えるといっても、基本給などの固定給部分は自分でコントロールできるものではありません。

通勤交通費は、職場の近くに住むことで減らせますが、そう簡単にはいかないですよね。


ということで、「標準報酬月額」を抑えるためには、残業代を減らすしかありません。以下にそのポイントをご紹介しましょう!


(1)4月・5月・6月の給与で支給される残業代に関係する残業は控えること!
   残業代が翌月支給の場合は、3月・4月・5月の残業は控えましょう!


(2)昇給・降給などで固定給が変更する月・翌月・翌々月の給与で支給される残業代に関係する残業は控えること!

   残業代が翌月支給の場合は、固定給が変更する月の前月・当月・翌月の残業は控えましょう!


(3)標準報酬月額が変わらない程度に残業すること!
   「標準報酬月額」は「標準報酬月額保険料額表」に当てはめて決定されるため、上手に残業代をコントロールすることで、標準報酬月額が上がらないようにすることができるのです。「標準報酬月額保険料額表」を参考にして、効率よく残業計画を立てましょう!


保険料率増加に伴い、会社経営を圧迫する重大な問題に発展することは必至ですので、会社の就業規則・規程等の制度変更や公的給付金・公的年金等の制度をうまく活用することによる社会保険料の削減策を考える段階にきております。


残業を減らすことは、「ワークライフ・バランス」「メンタルヘルス」の観点からも従業員に対する負担軽減となり、またさらに会社経営の負担軽減にもつながる大事な要素となります。まずは残業を減らすことについて、働き方を工夫するなど、職場において話し合ってみてはいかがでしょうか?


なんて、えらそうなことを書きましたが、私の職場も業務量が多く、さらにくだらない宿題で残業が多いです。
それをいいことに残業代を稼ぎたいと思っている人も中にはいるようですが・・・。


強制的に定時退社を実行すれば、働き方が変わる、変えることができると思いますが、上司も部下も、仕事が回らないと思っているので、なかなか実行できなさそうです。

働き方を工夫したい、残業代を減らしたい、とみんな思ってはいるのですが、トップダウンで定時退社を指示しない限り、実際に変わっていかないと考えます。



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