先月のこと…

荒地山のテーブルロックで特等席に座り海沿いの街並みを見下ろしながら、碾きたての珈琲とそれに合いそうな料理を作ったものの、野良猫に食い物をせがまれながら、なんだかよくわからないひと時を過ごした。

その時はそれはそれで良かったんだけど、その後にボクと同じ様に山で珈琲を嗜むとあるハイカーさんのブログを見てると…

あっ！！そっか。

山で珈琲を楽しむのになんでこんなことに気づかなかったんだろう。

どうやらあの珈琲は失敗だったみたい。

ということで…

また芦屋川駅からロックガーデンへと向う途中に前回と同じ場所で、恐らく同じウリボウと遭遇するところから美味い珈琲を飲むためだけのちょっとした冒険がスタートした。

コロナウィルス対策で外出自粛なんだけど、六甲山なら風通し抜群なので大丈夫だろう。

そう思ってるのはボクだけではないみたいで、いつも通り沢山の人がやって来てる。

勿論、これから山に登るので誰もマスクなんかつけてないし。

ちょっと不安になったので人気の少ない前回と同じ道を歩くことにした。

ヘトヘトになりながら岩梯子を登ると…

またもや野良猫が待ち構えてた。

この猫に名前はあるんだろうか？

長い立髪が特徴的なので、もしボクが名付けるならライオン丸と命名してしまうだろう。

そしてやはりライオン丸はテーブルロックまでちゃっかりとついてきた。

ライオン丸がまた食べ物をボクにせがむのは目に見えてる。

半分観念しながら鍋焼うどんを作ってると男の人の声がズンズンと近づいてきた。

見ると、嵐の二宮和也さんみたいな爽やか若者がしなやかにテーブルロックに降り立った。

二宮「やっと着いた。」

二宮君がザックから何かを徐に取り出したかと思ったら、さっきまでボクの鍋に釘付けだったライオン丸が、二宮君の方へと猛ダッシュで駆け出した。

二宮「好きなだけクエ。」

え…なんでキャットフード持ってきてるんだろう？

と思いながら眺めてると、それが伝わったみたいで…

二宮「ここに来る時はいつも持ち歩いてるんですよ。」

のら「へ〜。猫が好きなんや。」

二宮「そうでもないんですけどね。子供の頃に野良猫にインコ食べられました。」

話してるうちに鍋焼うどんがいい感じに仕上がってきた。

食べてみると…

まぁまぁかな。

その後、二宮君はその場所で珈琲を作り始めた。

自分で持ってきたペットボトルの水を沸騰させてる。

むむむ…

これは前回のボクと同じ失敗だ。

山珈琲はそうやって作るのではないのだよ。

山珈琲は山の水で作るべきなんだよ。

と心の中で思ったものの、そんな事をいちいち言うオッさんはウザいので、何も言わずにその場を去ることにした。

で…

やって来たのがここ。

知る人ぞ知る六甲山の湧水ポイントだ。

この場所って山と高原地図にのってなかったりする。

初めて登った時に道に迷ってたまたま見つけた。

そしてボクはホンモノの六甲山の天然水でカップを満たした。

この天然水を沸騰させて碾きたての豆で珈琲を作る。

それが山で珈琲を飲むってことらしい。

早速飲んでみると…

苦っ！！

なんか苦味が研ぎ澄まされてる。

思ってた味とちょっと違うような気がしたようなしないような。

でもたまたま通りがかった人がこう言ってくれた。

「その珈琲凄くいい匂いがしますね。絶対美味しいやつですね。」

うん。

山で飲む珈琲はやっぱり美味しいのだと思う。

黒部の源流で飲む珈琲。

大雪山の雪解け水で飲む珈琲。

石鎚山の神水で飲む珈琲。

でももっと美味しい珈琲もきっと沢山あるんだろうとも思った。

ふと携帯を見ると知り合いのブロガーさんからLINEが届いてた。

『来月、BARをオープンします。よかったら来て下さいね。』

え…

タイミングが悪すぎじゃないかい！？

しかもOPENがエイプリル・フールって…

もしかして騙されたてたりして。

続 山と珈琲と猫

続山と珈琲と猫