1.序章
逃避。これまで逃げ続けてきた人生。
夢に挑戦して自分の才能がないのが露呈するのではないかという恐怖。
社会人として一人で生きていけないのではないかという恐怖。
街にでて知らない人に馬鹿にされるのではないかという恐怖。
恐怖に押しつぶされ一歩外に足を踏み出せない人生。
自分というものを隠して生きてきた。その方が楽だったから。
いつかは遙か遠くの場所、私のことを誰も知らない場所で生きていきたいと常に思っていた。
自分の生き方に恥を感じていた。自分のことを考えると傷口に触れるような痛みが胸のどこかでしていた。映画や小説、山歩きをしているとそういった痛みを和らげることはできる。だが完全に取り除くことはできない。その痛みから逃れる方法を探すためにこの10年近く生きてきた。
今思うのは結局その傷みを一度味わった者は痛みとともに生きていく方法を見つけていくしかないということ。人生の時間は限られている。
外の世界に出ればいずれはまた傷つくことになるかもしれない。
しかし、胸の鼓動が止まるその時まで家でひっそりと生きるのか。
それとも痛みを感じながらも外界で様々な経験をして世界を少しずつ理解していくのか。
生き方に正解などない。
誰も人の生き方を批判することはできないし、その人の生き方全て理解することなどできない。
世界にはすぐ人の生き方に文句をつけたがる人がいる。そうやって自分の生き方を肯定している。
都会で疲弊するサラリーマンの生き方、アフリカの原住民たちの生き方、家に引きこもって外の世界を遮断する生き方、世界を旅して回る生き方。生き方と言っても世界の人の数だけ生き方は存在する。