形あるものは失われ
確かなものなど何もない

呆気ない
呆気ない唄を歌いながら
今日も私は生きていく

突然の知らせで駆けつけた
先には二枚の防火壁
黒い木片はまだ煙り

呆気ない
呆気ない唄をあの時
私は唄い始めた

夜遅くまで作ってた
校内新聞は配られず
初めて壁に張り出された
青空の絵はすすけて戻った

呆気ない
呆気ない街であの日あの時
私は初めて詩を書いた

長い月日の最果てに
育った場所は平たくなった
桜吹雪の舞った並木道も
駆けて回った坂道も

呆気ない
呆気ない唄を辞められない
風の尾のように生きるとも

幾度冬が来ようとも
忘れえない日がここにある
この日を迎える度にまた私は

呆気ない
呆気ない唄を高らかに
声張り上げて唄うのだ

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