随分、以前になるけれど深夜の報道番組で

わたしの妻は悪魔だった
なる見出しが出ていた

バラエティー番組ではないれっきとした報道番組だったので何事かと見いった


事件は以下のようなものだった

地方都市に住むある男性は
結婚と同時に転勤になり他の地方都市に行った
妻も一緒にである

妻は間もなく妊娠した

しかし、赴任から男性は仕事が忙しく深夜帰宅も日常茶飯事で、休日出勤もあった

ある日、帰宅すると妻が長男を浴槽に沈めて殺害していた
泣き止まないから殺したと、話した

男性は自分を責めた
慣れない土地、初めての育児、唯一の理解者であるべき自分はほとんど家にいない
ましてや、妻は内向的。自分で友達を作れるタイプでない

自分がもう少し妻と向き合っていれば長男はあんな事にはならなかったのに

あまりに大きな代償

男性は妻とやり直す決意をする

きちんと妻と向き合い、今度こそ幸せな家庭を作ろう
長男だってそれを望んでいるはずだ

良い弁護士を探して裁判をした
妻を、こんなに追い詰めたのは自分のせいだと法廷で涙ながらに証言した
殺人事件には異例の執行猶予付きの判決になった
仕事を辞め、残業のない会社に変わった
家事も積極的に手伝った
内向的な妻が少しでも外の世界とふれ合えるようにパソコンを購入してブログをするように勧めた

そして、再び妊娠した

育児サークルにも夫婦で参加した
できうる限りの協力をした

長女が誕生した
今度こそ、幸せになる
なれる
男性は心から思った



ある日、なんだか胸騒ぎがして急いで帰宅した


長女の泣き声が尋常でない

自宅のドアーを開ける



妻がまさに
長女を浴槽に沈めようとしていた


わたしの妻は悪魔だった


幸い長女は一命をとりとめた

チャーチゃん、おふろ入ったら
かくれんばしちゃった

まだ、よく回らない舌で長女は言っていた
母親に殺害されそうになった前後の記憶がないようだ。
幼い心防衛本能なのだろうか?



悪魔は存在するのだろうか?


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