物質的, 文化的に豊かで自由な社会を作るには, 庶民に適切に富を分配し, 庶民の自由時間を増やさなければならない.
しかし, 現在の日本国民は, 低賃金・長時間労働を強いられ, 疲弊し, 思考力を奪われ, 洗脳 (マインドコントロール) されており, 余暇を楽しむことも, 教養を高めることもできず, 文化的にも退廃し, 有権者としてのまともな判断ができない状況にある.
この状況を脱するには, 労働者の賃金上昇, 余暇の増加, 資本 (株, 不動産, 公的資本) から人 (子育て, 教育, 医療 , 社会保障 ) への投資先転換が急務である.
株バブル, 不動産バブルは起きても, 人手不足といわれているのにも関わらず, 労働力のバブルである「人バブル」が起きる気配が無い.
それは何故なのか, 下記にまとめたのでご覧頂きたい.
【 労働市場の問題 】
・労働力について, 公正な取引が行われていない.
経営者優位の不当な取引が行われている.
・株式市場, 不動産市場のようなオークション型の取引市場で労働力が取引されていない.
そのため, 経営者が競って, ある特定の労働者の労働力を得ようする, 経営者側の競争原理が働かず, 労働力のバブルである「人バブル」が起こらないのである.
・労働力のオークション型の取引市場を作るとしたら, 必ず公営 (仮称: 公営労働力取引所) か, 失業者も含めた労働者による協同組合 (仮称: 労働力取引所協同組合) によって経営されなければならない.
・労働者は, オークションにおいて, 労働者本人希望時給に達しなければ, 取引を未決とすることができるようにする.
・オークションの対象は, 現在, 時給が (最低賃金 + 200円) 以下の業務の労働力に限るのが良いだろう.
【 国政府の問題 】
・ [ 賃金下方圧力 ] 企業の利益の内, 経営者, 株主に分配して良い割合の規制が無い.
・ [ 賃金下方圧力 ] 労働者派遣事業者の営業を認め, マージン率の規制が無い.
・ [ 賃金下方圧力 ] 最低賃金の設定金額が低い.
・ [ 賃金下方圧力 ] 女性を働かせる政策.
・ [ 賃金下方圧力 ] 学生を働かせる政策.
・ [ 賃金下方圧力 ] 老人を働かせる政策.
・ [ 賃金下方圧力 ] 移民政策. (例: 改正「出入国管理及び難民認定法」, 国家戦略特区法)
・ [ 賃金下方圧力 ] 輸入量上限の緩和, 関税引き下げ.
・ [ 賃金下方圧力 ] 大企業優遇の規制緩和 (例: 「大規模小売店舗法」(大店法) の改正)
・ [ 賃金下方圧力 ] 民営化, 民間委託.
【 民間企業の問題 】
・ [ 賃金下方圧力 ] 経営者, 株主は, 人件費を極限まで下げようとする傾向がある.
・ [ 賃金下方圧力 ] 労働者派遣事業者の数が多い.
・ [ 賃金下方圧力 ] 労働者派遣事業者を利用する企業が多い.
・ [ 賃金下方圧力 ] アルバイト・パートが多い.
・ [ 賃金下方圧力 ] サービス残業が多い.
・ [ 賃金下方圧力 ] 外国企業への業務委託. (オフショア)
【 労働組合の問題 】
・ [ 賃金上昇圧力の機能不全 ] 労働組合が無い場合が多い.
・ [ 賃金上昇圧力の機能不全 ] 労働組合があっても, 加入する人が少ない.
・ [ 賃金上昇圧力の機能不全 ] 労働組合が, ほとんどストライキをしない.
・ [ 賃金上昇圧力の機能不全 ]
労働組合の最大勢力である, 日本労働組合総連合会 (通称: 連合) は, 庶民の労働者の意見を代弁する機関ではなくなり, もはや, 第二経団連と化している.
【 国民の意識の問題 】
・ [ 賃金下方圧力 ]
労働組合, 民進党 (旧民主党政権) , 社会民主党, 日本共産党への悪印象 (アレルギー).
この国民のアレルギーは, 低賃金・長時間労働者を欲している経営者, 株主を利するものである.
・ [ 賃金下方圧力 ]
「働かざるもの食うべからず.」という, スターリン憲法 (1936年ソ連憲法) 第12条1項に掲げられた語句が, 国民の潜在意識として脳裏に焼きついている.
スターリン憲法 (1936年ソ連憲法)
第12条 | 第1項 | ソ連邦においては労働は「働かざるもの食うべからず」という原則に基づき労働能力を有するすべての人民の義務にして名誉の仕事である。 |
第2項 | ソ連邦においては「各人はその能力に応じて働き、その労働に応じて受け取る」という原則が実現される。 |
国民の多くが, 社会主義, 共産主義への悪印象 (アレルギー) を持っているのにも関わらず, このような潜在意識を持っているのは皮肉であり, 不思議な現象である.
この国民の潜在意識は, 低賃金・長時間労働者を欲している経営者, 株主を利するものである.
(そもそも, ソ連最後の最高指導者であるミハイル・ゴルバチョフ氏は, 「日本は世界で最も成功した社会主義国である.」と主張し, 社会学者の小室直樹氏も同様の指摘をしたように, 日本は官僚が民間企業に対して命令をする「社会主義国」だったのだが, その件については本記事では掘り下げない.)
・ [ 賃金下方圧力 ]
銀行家, 投資家, 経営者, 中央銀行, 国政府, 地方自治体, 政治家による搾取の仕組みを知らない.
国民の無知・無関心・無教養は, 低賃金・長時間労働者を欲している経営者, 株主を利するものである.
・ [ 賃金下方圧力 ]
銀行家, 投資家, 経営者, 中央銀行, 国政府, 地方自治体, 政治家に対して抗議行動をせず, 代わりに公務員叩き, 農協等の利益団体叩き, 生活保護者等の弱者叩き, 差別行動をしてしまう.
この国民の行動は, 低賃金・長時間労働者を欲している経営者, 株主を利するものである.
【 政党の問題 】
政党名 | 支持母体の労働組合 | 労働組合員数 (人) (2016年12月15日現在) |
民進党 | 日本労働組合総連合会 (連合) | 6,880,000 |
日本共産党 | 全国労働組合総連合 (全労連) | 776,000 |
社会民主党 | 全国労働組合連絡協議会 (全労協) | 112,000 |
日本労働組合総連合会 (連合) の一部 | ||
中小労組政策ネットワーク |
[ 情報源: 平成28年労働組合基礎調査の概況 / http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/16/ / 厚生労働省 / 2016年06月30日 ]
[ 情報源: 5. 主要団体への加盟状況 / http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/16/dl/05.pdf / 厚生労働省 / 2016年06月30日 ]
分類 | 政党名 | 得票数 |
与党系 | 自由民主党 | 20,114,788 |
公明党 | 7,572,960 | |
おおさか維新 | 5,153,584 | |
日本のこころ | 734,024 | |
新党改革 | 580,653 | |
与党系 小計 | 34,156,009 | |
野党系 | 民進党 | 11,750,965 |
日本共産党 | 6,016,195 | |
社会民主党 | 1,536,238 | |
生活の党 | 1,067,300 | |
国民怒りの声 | 466,706 | |
野党系 小計 | 20,837,404 | |
宗教系 | 幸福実現党 | 366,815 |
支持政党なし | 647,071 | |
合計 | 56,007,299 |
表3 各政党の政策的立ち位置
※ ◎: 大賛成, ○: 賛成, △: どちらともいえない, ×: 反対, ××: 大反対
自由民主党 | 公明党 | 日本維新の会 | 民進党 | 自由党 | 社会民主党 | 日本共産党 | 幸福実現党 | 日本第一党 | 理想 (存在しない) | |
消費税増税 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ×× | ×× | ×× | ◎ | ×× |
原発再稼動 | ◎ | ○ | × | △ | ×× | ×× | ×× | ◎ | ◎ | ×× |
原発存続 | ○ | △ | △ | △ | ×× | ×× | ×× | ◎ | ◎ | ×× |
ヘイトスピーチ規制 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | ◎ | 不明 | ×× | ×× |
「南京事件」について中国に謝罪すること | △ | △ | △ | △ | △ | ◎ | ◎ | ×× | ×× | ×× |
「従軍慰安婦問題」について韓国に謝罪すること | ○ | ○ | △ | △ | △ | ◎ | ◎ | ×× | ×× | ×× |
北朝鮮に対し対話より圧力を重視すること | ○ | △ | △ | △ | × | ×× | × | ◎ | ◎ | ◎ |
外国人地方参政権 | × | ◎ | × | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ×× | ×× | ×× |
※ 日本共産党は, 外国人地方参政権について, 永住外国人に対し, 選挙権だけでなく被選挙権も附与すべきという立場である.
労働組合と関係が深い政党といえば, 民進党, 社会民主党, 日本共産党の3党であるが, 2016年7月10日に行われた第24回 参議院議員通常選挙の結果を見ると, この労組系3党の得票数の合計は, 自由民主党1党の得票数に少し及ばない程度である.
労組系3党は, 経済, 労働, 教育, 医療, 社会保障分野では, 現在の与党よりも良い政策を主張をしているのに, なぜ, 得票数が伸びないのだろうか?
民進党の得票数が伸びない理由は, 民主党政権時代に公約を破って消費税増税を決めたこと, TPPを推進していたこと, 自虐史観に基づき, 中国, 韓国, 北朝鮮に対して外交的ミスをしたこと, 外国人地方参政権賛成派, 人権擁護法案賛成派が多いこと, 原子力発電所廃止を公約に掲げなかったこと, ヘイトスピーチ規制法, 改正「刑事訴訟法 ( 盗聴法の拡大, 司法取引, 取調べの一部可視化)」に賛成したことが主な原因だと思われる.
社会民主党の得票数が伸びない理由は, 自虐史観に基づき, 中国, 韓国, 北朝鮮に対して甘く, 特に北朝鮮に対して甘く, 外国人地方参政権賛成, 人権擁護法案賛成であることが主な原因だと思われる.
日本共産党の得票数が伸びない理由は, 毛沢東, スターリン, ポル・ポト等による粛清や, 全共闘, 過激派, 内ゲバ等のイメージが未だにあること, 中国共産党とつながりがあること, 天皇制廃止を掲げていること, 自衛隊廃止を掲げていること, 自虐史観に基づき, 中国, 韓国, 北朝鮮に対して甘いこと, 外国人地方参政権賛成 (永住外国人への被選挙権附与も含む), 人権擁護法案賛成であること, ヘイトスピーチ規制法に賛成したことが主な原因だと思われる.
もし, 労組系3党が, 「どの国に対しても土下座外交禁止, 重武装中立化, 反グローバリズム, 反新自由主義, 社会民主主義 (搾取無き国家), 原子力発電所廃止, エネルギー完全自給, 食料完全自給, 利子・負債を生まない通貨発行, 移民政策反対 (出入国管理及び難民認定法の大幅規制強化), 外国人地方参政権反対, 人権擁護法案反対, ヘイトスピーチ規制法廃案, 表現の自由の完全実施」を公約に掲げれば, 選挙で圧勝するだろう.
しかし, おそらく労組系3党は, これまでの路線を継承するであろうから, 庶民としては, 次回の衆議院議員総選挙で, 投票率を70%まで上げること, 労組系3党または自由党を伸ばすこと, 「どの国に対しても土下座外交禁止, 重武装中立化, 反グローバリズム, 反新自由主義, 社会民主主義 (搾取無き国家), 原子力発電所廃止, エネルギー完全自給, 食料完全自給, 利子・負債を生まない通貨発行, 移民政策反対 (出入国管理及び難民認定法の大幅規制強化), 外国人地方参政権反対, 人権擁護法案反対, ヘイトスピーチ規制法廃案, 表現の自由の完全実施」の意思を省庁, 政治家に伝え続けることことが必要である.
【 まとめ 】
まず, 国民の意識が変わらなければ, 状況を好転させることはできないので, 意識改革が必要だ.
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