「あと、もう少し。まだ目を覚ましちゃダメ、戻れなくなっちゃうから」
これは、幼稚園に通っていた頃に繰り返し見ていた夢の中で、夢を見ている私が私自身に語りかけている言葉だ。
いつも同じ場面から始まり、同じ場面で目が覚めるのだ。
その日も同じ場面から始まった。
通っている幼稚園から続く坂道の下に自宅があるのだけれど、その道のりを上空から眺めているのだ。
そして、徐々に下降し坂道を下って行く。
坂道を下って行く最中に、夢を見ている私は目を覚ましそうになる。
その時、語りかけるのだ。
「あと、もう少し。まだ目を覚ましちゃダメ、戻れなくなっちゃうから」
夢の中で、夢を見ている私は今にも目を覚ましそうな感覚に焦っている。
だって、戻れなくなるから。
そうするうちに、すーっと家の中に入り眠っている私の体に戻って行くのだ。
そこで目が覚める。
そんな不思議な夢を見ていた、というお話。
アラフィフ、今日もそろりと生きてます。