私が小学4年生の時に、兄は6年で妹は1年で兄妹3人が全員小学生になった。


もちろん、授業参観に母は私の教室には来なかった。何度か後ろを振り返ったけれど、母の姿はなかった。

その日は親子で風鈴を作るという参加型の授業だった。

私は絵の具で黄色い猫の絵を描いた。


自分では上手くできたとは思わなかったが、家に帰ると、母が

その猫かわいいね。

と褒めてくれた。

私にはすぐにわかった。

母はバツが悪かったのだろう。

兄と妹の授業参観にだけ行って、私が1人で風鈴を作ってきたから。


それでも私は

うれしかった。

母は廊下に私の風鈴を飾ってくれた。





どうして私の授業参観にだけ来てくれなかったの?という言葉を飲み込んだ。

一緒に作りたかったのに…と思った。





廊下を通るたび、黄色い猫を見上げた。

猫はなんだか淋しげだった。