17日、22日と、二瓶さんの「深海のカンパネルラ」を観てきました。
私にとっては、初めての2回観劇。
カンパネルラの役者さんで、
「深く潜ってきます」っていうのが決まり文句になっていたように、
本当に深いお話でした。
小学生の時、学校で観に行った「モモと時間泥棒」以来の衝撃。
ほんとにね、あの純真だった子供のころの心に戻ってしまったかのようだったのです。
綺麗な女性の声の優しい歌が流れて・・・
だんだん大きくなっていき、暗転。
セピア色の照明に浮かぶのは、制服を着た若者たち。
舞台狭しと怒号が飛び交い、何かが起こっているらしい。
すぐに舞台は静寂に包まれる。
銀河鉄道の夜を朗読する青年。
すると、そこにカンパネルラが。
戸惑いながらも、打ち解けていくふたり。
先を急ぎたがるカンパネルラに、
ずっとどこまでも行きたいジョバンニ。
舞台のセットはずっと、四角い枠に囲まれた椅子が2脚と、印象的に造形された、家具。
それだけ。
四角い枠は銀河鉄道の客車、その中で旅は進み・・・
そしてある時は、ジョバンニ・・・だと思っている青年りくの部屋にもなる。
その空間の使い方の妙。
一番後方の柱のところでインターフォンを押す女性。
すごい奥行が感じられる。
彼女は、後から、閉じこもってしまったりくを心配する姉とわかる。
そう、この物語は、大切な友を亡くしてしまった青年のお話。
原作もそうですね。
たくさんの素敵な言葉のどれを紹介していいのか。
わからないので、少し、感傷をたどっていっていいでしょうか。
客車に乗り込んでいた、二瓶さんたちが演じるちょっと老けた子供たちw
楽しい鉄道の旅が続くんです。ものすごいハイテンションで。
そんな最中で、時折挟まれる、インターフォンの音。
お姉さんの訪問。
「死んでいるってわかっている。わかっていて想像しているんだ」
そう言って譲らないりく。
そうして、また同じところから銀河鉄道の旅が始まる。
それでも、何回も何回も繰り返されるうち、
カンパネルラの表情が悲しみに満ちて現れるようになっていたな。
そして、ザネリの突然の登場。
そう、りくは排除しようとしていたけれど、
そこに存在していたいじめという事実。
ザネリを、二瓶さんのルピーを殺してしまうりく。
でも、やり直すべく、いったん現実へ戻る。
だんだんと現実と妄想の区別がつかなくなってくるりく。
学校での授業での様子や放課後の遊びに行く計画や、
そういう現実であった辛い事実が、観客にも知らされる。
都度、やり直そうとするりく。
そんな中、死んだけんじくんは、絶対に現れない。
何故?
水泳部で泳ぎが得意なけんじくんて、誰?
りくは、いじめの最中に現れたけんじくんという転校生を、
死んでしまった彼を、記憶で歪めて、忘れてしまおうとしている。
とある授業風景の中で、みんなの嘲笑の中、答えられなかったりくの代わりに、
手を挙げて、絶対彼なら知っているであろう星座の答えをわざと忘れたふりをするけんじ。
次の生物の授業では、マリンスノーは、生物の死体であると。
どんなにきれいであっても、死体は死体。
「向き合うべきは、生きて、目の前にいて、違う考えを持っている誰か」
そう、先生、そのまま姉になる、が叫ぶ。
鉄道の旅の合間に、突然部屋を訪れる友人たち。
二瓶さん演じるルピーは、実はいじめっ子に弱みを握られていて、
仕方なくりくを殴っていたと打ち明ける。
両親が働かなくて、幼い妹がいて、お金をいじめっ子に取られては困るからって。
「それが何?殴られてる僕には関係ないよね」
ほんとそう。
「悪いと思うなら謝るなよ。自分だけすっきりしたいんでしょ」
ここ、ほんと辛いシーンだった。
二瓶さん演じるルピーの辛さに感情移入するのか、
納得いかないりくの気持ちに寄り添うのか・・・
わからなかった。
演じてる二瓶さんは、どちらのつもりだったんだろうな???
いろいろな、見えなかった事実が明かされる。
「派手な不幸じゃないから、自分の悲しみのほうが重いからって言い訳して、
見えないふりをしてきた人たちの余白を考える」
余白を考えるって、すごいセリフだと思う。
銀河鉄道の中であんなに元気にはしゃいでいた子供たちには、
実はこんな悲しみがあったんだって。
最後にやってきた、いじめの張本人柴実(しばざね・つまりザネリ)くん。
すごかった。
舞台とおしての悪役ぶりが、ここで炸裂。
でもね、1回目を観て、なんだかひっかかった。
どうしてこんなに切ないんだろう。
優しい言葉、いい言葉なんて、一つも言わないのに、なんだか切ない。
2回目に観て思った。
彼は、本当はりくに触れたかったんだって。
時折距離を縮めてみては、きつい言葉を言って自虐的に離れる柴実くん。
ものすごく歪んでて嫌なやつだけど、生まれおちての悪人はいないんじゃないかなって、
そう思った。
このシーンが終わった後の、会場の息継ぎがすごかったw
みんな一斉に呼吸を再開って感じ。
そして、銀河鉄道に戻ると、
先生、どうやら宮沢賢治w、が、話し始める。
やっとけんじくんが出てきたねって。
先ほどの柴実くんとの会話で、どれくらい仲良かったかってことを確かめたりくだったから。
「ちゃんと思い出すってことは、ちゃんと忘れるってことだから」
そう先生に言われて、忘れないと言い張るりく。
「でも、生きるっていうのは、・・・・・・そういうこと全部だから」と先生。
銀河鉄道の車掌さんが、死んだけんじくんのお父さんに変わる。
そして、りくの部屋で、けんじくんのことについて語り合う。
「ひとつだけ確認しておきたいことが・・・君はけんじと水族館に行ったかい?」
そこから、溢れ出すわけです!
全ての記憶が!
静かに本を読み始める。
他の乗客たちは現れるのに、カンパネルラだけは現れない。
先生宮沢賢治は語る。
賢治自身も、妹を亡くして、心を彷徨わせたこと。
結果、救いは書けなかったと。
銀河鉄道に乗り続けることで、会いたい人に会えるかもしれない、会えないかもしれない。
でも、自分はまだ会えていないって。
「銀河鉄道に乗るのは、死んでからでもできる。
現実の中で苦しむこと、絶望することは今しかできない」・・・・・・これ!これが一番きた!
もう、号泣しました。
「理不尽に命は奪われ、生きている限り、それを避けることはできない。
しかし、死を嘆き、受け入れることも生きている間にしかできない」
すぐに震災の光景が心に浮かんで、さらに涙。
「別れを言うときだけは、会える」って。。。
そして、私の一番好きな原作のセリフ。
「みんなの本当の幸せのためなら、あの蠍のように、僕の体なんて百編灼いたって構わない」
「僕たちどこまでも一緒に行こう」そう言ってジョバンニはカンパネルラを振り返り・・・
そこで読むのを辞めようとするりくでしたが、
ついに最後まで
「振り返ると、そこにカンパネルラの姿はありませんでした」
まで読み切ってしまう。
自分の部屋にいるりく。
最後のページには、水族館のチケットが。
全てが思い出される。
魚が好きなりくと、
星が好きなけんじ。
二人が、サンシャインの前で偶然に会い、
お互いの行先を、水族館とプラネタリウムで取り違えること。
そして、ふたりでどちらも観たこと。
今度、銀河鉄道の夜の本を借りること。
次は江ノ島水族館に行こうと約束したこと。
そして、唐突に別れのシーンが始まる。
泳げないのにザネリを助けるのに海に入ってんじゃねーよ。
ごめん。
ごめんじゃねーよ。
深海のマリンスノーを語るけんじ。
海の底も大空もたいして変わらない。どっちもいきたくてもなかなか行けないし。
(((((そう!そこにいるんです、けんじくん。だから深海のカンパネルラ。)))))
うらやんでみたりするりく。
でも、お前がうらやましいよというけんじ。
オリオン座の爆発、楽しみにしてたのに。もう一度見たかったな、オリオン座。
死ぬのが悪いんじゃん。
そうだな。
なんて、悪態つきながら微笑むふたり。
そして、何回も繰り返してきたお決まりの星座の名前を言っていくシーン。
途中から、けんじが魚の名前を言い始める。
だんだんとペースがずれ始め・・・
どうやら、もうお互いは見えていないということがわかる。泣ける。
星座を言い続けるりくを見つめるけんじ。
やがてその場を去ろうとすると、
「レグルス!」
最後のお決まりです。
けんじが一番好きなオリオン座の一等星。
振り返るけんじ。微笑み、去っていく。
りくも、反対方向へ歩き始める。
はしょってはしょって、こんな感じ。
全然良さは伝わらないと思う。
それに、逆にちょこちょこセリフ載せちゃって、ストーリーさらして、著作権はどうよって話も。
うーん、難しい。
でも、レポなんて気軽に書ける感じでもなくて、
できるなら、少しでもたくさんの人に、ほさかさんの魅力を知って欲しくて、
強引ながら、少し書いてみました。
ほんと、本物は、もっと深いですし、
素敵なシーンが盛りだくさん。
エピソードも、もっとたくさんありますからね!
良かったら、台本買いましたので、お貸しします^^
細かいことは、後日書くかもしれないし、書かないかもしれないw
ただ、私は、こういうのが観たくて劇場に通おうとしているってことがよくわかった。
わらしべ長者のように、いろんなことが広がって、こうしてまた素敵なものに出会えた。
ほんと、楽しい。
主演されていた多田さんの次の「無伴奏ソナタ」、
いじめっ子役の石黒さんの劇団ゲキバカ、
とにかく観たいものがたくさん。
もちろん、次の空想組曲7月舞台は絶対です。